瞳孔計とは
瞳孔計とは、高精度で再現性の高い瞳孔径や瞳孔反応データを測定できる装置です。
従来はペンライトと検査者の主観に基づく診断が主流でした。従来の検査方法では検査者のレベルや患者の個体差・健康状態によって差異が発生し、誤診の可能性がありました。瞳孔計を使用して主観性を取り除くことで、微妙な瞳孔の変化も検出し統一された数値で測定できます。その結果、正確な瞳孔観察が行えるため疾患の早期発見や救急手術、神経学的検査の治療方針決定に非常に有効的です。また、瞳孔不同や対光反射を確認する際は半定量的評価と定量的評価に誤差があると言われています。瞳孔計を使用するメリットの1つに検査者の不安の軽減が挙げられます。
瞳孔計の使用用途
瞳孔径、対光反射、瞳孔の異常や障害の部位に対して定量的評価が可能です。
1. 瞳孔径の観察
瞳孔が円形でない、左右の大きさが違うという症状の瞳孔不同は瞳孔の異常の1つです。1mm以上の瞳孔径の差異と定義されている瞳孔不同を目視で判断するのは困難ですが、瞳孔計を使用すると発見精度が上がります。
2. 対光反射の観察
対光反射の観察の際は光量と瞳孔までの距離および角度、検査者の視力や部屋の明るさなど多くの要素が関係します。そのうえで瞳孔計を使用すると客観性のある定量的評価が可能です。
3. 疾患の早期発見における活用
器械による測定を行うと最大瞳孔径、収縮率、平均収縮速度などが正確なデータで測定できますので予後予測が可能です。また、収集したデータの蓄積による今後の活用も見込めます。
4. 脳神経救急における活用
瞳孔の異常は脳外科の疾患で見られることが多いです。脳疾患は異常が起きても症状が分からない場合も多いですが、瞳孔の異常から脳のどの部分に異常が起きているかが判断できます。
5. 集中治療における活用
緊急性や正確性がより求められる集中治療の現場において、患者の容体に関わらず安定的な計測が可能な瞳孔計の優位性が確立されています。