きさげ加工とは
きさげ加工とは金属平面をきさげと呼ばれる工具を使用してくぼみを作りながら、凹凸を除去して平面度を向上させる金属加工方法になります。研磨加工等の仕上げ工程で行われます。
平面度が高い金属面同士が密着した際に、滑らずに固着してしまうことをリンギング現象と呼びます。研磨加工等が施されて平面度が高い金属面の間には潤滑油が入らず、リンギング現象が発生しやすくなります。
きさげ加工で潤滑油が入り込むスキマを作ることにより、金属平面が固着してしまうことを防ぎます。
きさげ加工は大きく2つの工程からなります。
- 塗料の塗布
加工物の凹凸を調べるために塗料を平面全体にまんべんなく塗ります。 - 基準となる定盤とこすりあわせ
基準面となる定盤と加工物平面をこすりあわせます。出っ張りがある部分のみ塗料が取れ、これをアタリと呼びます。 - 削り取り
アタリが出た箇所を中心に削り取ります。
きさげ加工の使用用途
きさげ加工は工作機械のテーブルやヘッドなど滑らせて動かす部品と接する面に対して施されます。また、マイクロメートル単位で平面精度を求められる製品に対してもきさげ加工を行います。
きさげ加工は今でも手作業で行われる加工方法です。職人が手作業で一箇所ずつ仕上げを行います。工作機械で作られる製品の精度はその製品を作る工作機械の精度を超えることはありません。これを母性原理と呼びます。きさげ加工で製品の仕上げを行うことで母性原理の縛りを超えた製品精度を出すことができます。
機械加工では加工時に熱が発生し、それにより金属が熱膨張します。膨張した金属加工物が冷えた時に収縮すると歪みが生じるデメリットがあります。一方できさげ加工は手作業のため熱による歪みを抑えることができます。