個体識別

個体識別とは

個体識別とは、物流や工場内での物品の流れを把握するため、個々の製品に「識別可能なタグ」などを設け、各個体の識別を可能とすることです。位置や工程などを一括管理することが出来ます。

1. 個体識別の利用分野

日本においては、製造番号や製造機器番号で物品を管理するシステムが戦前より実施されてお り、日本の製造現場では個体識別やトレーサビリティの礎が築かれていたと言えます。現在では、 個体識別の利用分野は、大きく分けて「物流」および「小売業」と「生産現場」の三つです。 

物流

物流においては、製品出荷時に個体識別タグなどを付与し、搬送の際には製品を保持するパレ ットなどの輸送部材にも個体識別タグを付与し、二つの要素を組み合わせて管理する手法が主 流です。そして、出荷元や配送センターおよび納品先などでチェックし製品の位置管理をおこない ます。 

小売業

小売業においては、納品された商品に個体識別タグなどを付与し、在庫の管理や盗難防止などに役立てています。

生産現場

生産現場においては、製造する物品を最初から完成まで管理しています。原材料に個体識別タ グなどを付与し、原材料の情報を明らかにするのが第一段階です。次に、当該原材料を用いて、 製品を生産し、個体識別タグなどを付与し、製品の情報だけでなく、原材料の情報も追跡できる ようにしています。また、この個体識別タグにより、製品が今どの工程にあるのかなども一元管理し ており、非常に効率的です。 

 

2.個体識別のシステム

個体識別のシステムの要素は大きく分けて三つです。

  1. 個体識別手段
  2. 検出機器
  3. ソフトウェア

個体識別手段

個体識別手段として、RFIDタグ、QRコード、バーコード・カラーバーコード・画像トレーサビリティがあります。 

  • RFIDタグ

RFIDタグは、内部に情報が記録されたICチップとこれに接続しているアンテナが内部格納されてい ます。RFIDタグは、電波が届けば認識可能であり、対象物を目視できない状況でも情報を認識 可能です。このため、梱包された状態でも外部から確認できるメリットがあります。

一方、QRコードやカラーバーコードと比較すると、タグ購入価格が高価であること、取り扱いに免許 申請が必要であること、アンテナやリーダーなどの読取り専用装置が必要で初期費用が高価であ ることがデメリットです。また、電波で確認することから電波干渉が起きないように配慮する必要も あります。 

  • QRコード 

QRコードは、非常に身近な存在で、コードの作成が安価であることや汚れに強いなどのメリットが あります。安価である上、データを格納できる点もメリットです。 

一方で、自動的に読み取ることが難しく、専用のバーコード読取装置で人手による読取りが必要 であり、自動化にあまり適さないというデメリットがあります。

  • バーコード・カラーバーコード

バーコード・カラーバーコードは、コードの作成が安価であること、同時に複数の読取が可能であるこ と、汎用カメラやカラープリンターなどを使用してシステム構築できるので初期費用が安価な事がメ リットです。 

一方、カラーバーコードを正確に読み取るには、一定の照度が必要であること、位置検出は可能で あるがコード内にデータを格納できないというデメリットもあります。 

  • 画像トレーサビリティ

データコードを付与することなく、画像そのものから物体の表面情報をデータ化し、非接触で個体 識別を実現できます。 部品のサイズや形状により、コードやタグの付与が難しい場合や、製品特性や品質管理の観点か ら表面への印字が認められない場合にも識別できることや加工に伴う品質検査工程の再評価が 不要なことがメリットです。また、物体表面の細かい凹凸を識別対象とするため、偽造されにくいメ リットもあります。 

一方、物体表面の種類や形状に左右されやすいというデメリットもあります。 

検出機器

検出機器としては、上記の個体識別対象の様式に合わせたものが使用されます。例えば、RFIDタグであれば、RFIDリーダーやRFIDゲートが挙げられ、小売り店の出入り口に設けられているゲートは身近な存在です。QRコードは、スマートフォンやパソコンなどカメラ機能がある機器であればアプリなどをインストールすることで読み取り機として使用できます。バーコードやカラーバーコードの読み取り機としては、専用の読み取り機のほか、汎用カメラが良く使用されます。人工物メトリクスはデータ取得のための読取装置のセンサ(カメラなど)を利用します。

ソフトウェア

読み取り機で読み取った情報を処理して整理し、管理するのがソフトウェアです。ソフトウェアにおいては、使用用途に合わせて、「モノとモノ」「モノと情報」「情報と情報」を紐づけることが重要です。

参考文献
https://www.kobelco-em.jp/product/infosystem/kotaishikibetu.html
https://www.smri.asia/jp/yamadamt/news/214/
https://www.cpsec.aist.go.jp/achievements/artmet/artmet-guidance-1_0_0.pdf
https://webdesk.jsa.or.jp/common/W10K0500/index/dev/iso_security/?dev/iso_security/
https://www.cpsec.aist.go.jp/achievements/artmet/artmet-guidance-1_0_0.pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/traceability/intro_system.jsp

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