MCPソーダ塩

MCPソーダ塩とは

MCPソーダ塩とは、農耕地用の選択性除草剤の1種です。

成分には、除草作用のあるMCPAナトリウム塩が19.5%含まれています。形状は茶褐色水溶性液体で、水に希釈して使用します。除草剤には、農耕地用と非農耕地用、選択性と非選択性で分類可能です。

農耕地用地と非農耕地用除草剤の違いは、作物が栽培されている農地で使用できる登録がある除草剤が農耕地用で、できないものが非農耕地用になります。そして、選択性と非選択性の違いは、除草剤がかかった植物の中で一定の科 (イネ科やウリ科など) だけに効果があり、選択的に枯死せせるものを選択性、除草剤がかかった植物全てに効果があり、枯死させることができるものが非選択性除草剤です。

MCPソーダ塩は農地でも使用され、選択的に植物を枯死できます。

MCPソーダ塩の使用用途

MCPソーダ塩は、農地や庭先、駐車場などの雑草除去に使用されます。選択性の除草剤なので、枯らしたいものだけを選択して除去できることが大きな特徴です。MCPソーダ塩の適用作物は水稲・麦類・日本芝・西洋芝・とうもろこし・クワイやハスなどの水田作物・樹木などで、登録のある適用雑草は一年生広葉雑草・多年生広葉雑草・マツバイ・オモダカ・ウリカワ・セリ・スギナなどです。

水稲や麦類に対して、栽培中に使用できることが大きな特徴として挙げられます。MCPソーダ塩は、水稲に対する選択性が高く、イネの枝分かれを抑制する効果や倒伏防止効果なども確認されており、幼穂形成期前や幼穂形成期後半などに散布されます。

また、稲刈り直後に散布することでマツバイなど多年生雑草を除去し、翌年の多年性雑草の発生を抑制し、翌年の稲作に備える用途もあります。 

MCPソーダ塩の原理

MCPソーダ塩は、オーキシンという植物ホルモンを攪乱させ、植物の成長阻害を引き起こして草を枯らします。そのため、ホルモン型の除草剤と言われています。オーキシンは植物の生長促進作用のあるホルモンです。

しかし、植物体内に多すぎると、異常成長を起こし枯死に至ります。MCPソーダ塩は天然のオーキシンに似た、オーキシン型の作用をもつ合成化合物で、植物体内のホルモンバランスを攪乱し植物を枯死させる仕組みです。

また、選択性除草剤は単子葉類と双子葉類の維管束の構造の違いを利用しています。双子葉類の維管束は薬剤が自由に移動できるような構造になっているため薬剤が効きやすいですが、単子葉類の維管束は薬剤が移動しにくいような構造になっているため、薬剤が効きにくいです。この違いで選択的に植物を枯らすことができています。

MCPソーダ塩のその他情報

1. MCPソーダ塩の長所

  • 一年生、多年生広葉雑草を効率的に枯らすことができます。
  • 選択性除草剤なため、枯らしたくない作物が登録作物の場合、散布分けすることなく同時に散布ができます。
  • シバに登録があるため、庭の芝生内の雑草除去に使用することができます。

2. MCPソーダ塩の短所

  • 薬剤や噴霧器のコストがかかります。コストに見合う効果があるか検討してから導入する必要があります。
  • 駐車場や公園など農地以外で散布する場合、草丈が30センチ以上の草だと効き目が悪いため一度草を刈ってからの散布になります。

3. MCPソーダ塩の使用方法

MCPソーダ塩の使用方法は薬剤を水で希釈して、噴霧器などで雑草に散布して使用します。使用薬剤量や希釈水量は作物ごとに違っているため、使用適用表の確認が必要です。

また、作物のある農地で使用する場合は、使用時期 (葉の2~5葉期など) や使用状態 (田んぼの落水状態など) が定められているためその期間内、状態下での散布を行います。

4. 使用上の注意点

  • 散布の際は手袋やマスクを着用し、眼や鼻、直接肌にかからないようにします。
  • 桑や茶、果樹などにかかると、薬害を生じる可能性があります。
  • 散布直後に雨などで薬剤が流されてしまうと効果が低下するため、天候を見きわめての散布します。

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