エアバッグ

エアバッグとは

エアバッグとは、自動車の安全装置の1つであり、衝突時に乗員の衝撃を和らげる役割を果たすシステムです。

固定した壁に対して正面衝突する速度に換算して、時速20キロメートル以上の衝撃で作動するよう設定されているのが一般的です。運転席用・助手席用のエアバッグは車両の前面方向からの衝突に対してだけ効果を発揮し、斜め方向・横方向からの衝突時には作動しない可能性もあります。

最近は、横方向からの衝撃から乗員を守るサイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグを装備する自動車も増えています。日本の交通法規にはエアバックの標準搭載の義務はありませんが、欧米などでは完全に義務化されています。

エアバッグの使用用途

1.自動車

エアバッグは自動車が衝突事故を起こした際に、乗員がハンドル、インストルメントパネル、ダッシュボード、フロントガラスなどへの衝突を防ぐために使用されます。日本で使われているエアバッグはSRS (Supplemental Restraint System: 補助拘束装置) エアバッグと呼ばれ、シートベルトの補助装置として設計されています。

シートベルトを着用していない場合は、エアバッグが作動しても乗員を十分に守ることができない可能性があります。また、一度作動して膨らんだ後は自動的にしぼむため、多重衝突事故など2回以上の連続的な衝撃が発生した事故の、2回目以降の衝撃には効果がありません。

2. 自動車以外

エアバックは自動車以外の用途でも使用されています。代表的な用途としては、以下のようなものがあげられます。

  • オートバイ用エアバック
  • 自転車用エアバック
  • 雪崩対策用エアバック
  • 惑星探査機用エアバック

エアバッグの原理

エアバックは、事故の衝撃を感知するセンサー、インフレータ (ガス発生装置) 、バック、コントロールユニット、回転コネクタ (運転席のみ) で構成されている装置です。

1. 事故の衝撃で膨らむ仕組み

自動車の特定部分に加わった衝撃をセンサーが感知し、エアバッグのコントロールユニットに信号を送ります。その信号を受け、インフレータが点火すると瞬時にガスを発生させて、ナイロン製のバッグを約0.03秒で膨らませます。

2. エアバックが衝撃を吸収する仕組み

エアバックには、ガスの排出口 (ベントホール) が設けられています。膨らんだエアバックに人が衝突して、エアバック内に充満したガスの圧力が高まると、この排出口からガスが噴出する仕組みです。

これにより、人がエアバックに衝突した瞬間にエアバックは収縮し、ぶつかった衝撃をガスを噴出させる運動エネルギーに変換して外に逃がします。仮に排出口がなければ衝撃がそのまま人体に加わってしまい、大怪我や命の危険につながります。

エアバッグの種類

1. 展開方式による分類

衝撃検知からエアバッグの展開までの動作を行う機構には、以下の3つがあります。

機械式エアバッグ
電気的な仕組みを一切使わずに、衝撃を機械センサが感知します。ばねなどの機械的な仕組みのみで、ガス発生装置への着火を行うエアバッグです。古い自動車には、機械式エアバッグが装備されていることが多いです。

電子式エアバッグ
加速度センサーで減速度で感知して、減速度の設定値を超えた場合にガス発生装置に信号を送り、着火させ作動させるエアバッグです。最近の新しい自動車には電子式が装備されています。

電子機械式エアバッグ
衝撃を感知する機械センサを使用するところは機械式と同じですが、ガス発生装置への着火信号の伝達が電子式に行われるものです。

2. 格納部位による分類

エアバッグで一般的なのものは、運転席エアバックや助手席エアバックですが、自動車の側面からの衝突を想定したサイドエアバックやサイドカーテンエアバックなどもあります。欧米などはこの2つのエアバックも含め標準搭載が義務化されています。

それ以外にも、乗員を保護するためのエアバッグは、格納されている場所によって以下のような種類のエアバックが存在します。また、歩行者との衝突時に車外で開いて、歩行者への衝撃を軽減する歩行者保護用エアバッグも使用されています。

  • ニーエアバック
  • シートクッションエアバック
  • リアウィンドウカーテンエアバック
  • 後部エアバック
  • 後部センターエアバック
  • シートベルトエアバック
  • ドアマウントカーテンエアバック
  • ITSヘッドエアバック
  • ペルビスエアバック

エアバッグのその他情報

ガス発生装置の種類

エアバッグのガス発生装置には、下記の3種類が存在します。

1. パイロ方式
固体のガス発生剤を使い火薬の燃焼によりガスを発生させます。小型軽量であることが特徴です。

2. ストアードガス方式
高圧ガスを耐圧容器に充填して使用します。高圧ガスを使っているため、エアバッグの展開が早いです。

3. ハイブリッド方式
パイロ方式とストアードガス方式を組み合わせたハイブリッド方式です。小型軽量でエアバッグの展開が早いことが特徴です。

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