切り花延命剤とは
切り花延命剤とは、花器などに生けた切り花をなるべく枯らさずに、少しでも良い状態で長持ちさせるための物質が含まれている薬剤です。
延命剤の最も重要な役割として、切り花の栄養素を補給することと、水の腐敗とバクテリア増殖を抑制することの2点が挙げられます。
切り花延命剤の使用用途
切り花延命剤は、切り花の鮮度を保つために、花瓶の中の水に混ぜて使用します。花は切って花瓶に活けると、土壌で成長している時に比べて、はやく枯れてしまう傾向にあります。
花は切ると、栄養を吸収する能力が著しく低下するためです。また、花を生けた花器の中で、水温と栄養分がバクテリアにとって最適な状況になると増殖し始め、水が腐敗することも理由として挙げられます。
切り花延命剤の特徴
長所
切り花と花器をより良い状態にしたうえで、切り花延命剤を使用することにより、室内で花を愉しむことが可能です。直接屋外で花を観ることができなかったり、贈答用など大切な人に、切り花を愉しんでもらうために必要不可欠な液剤です。
短所
延命剤を使用していても、水と延命剤の入れ換えは必要です。暑い季節では水温も高くなり、切り花の状態も悪くなり始め、水中のバクテリアが増殖して花の劣化も早くなります。
切り花を生ける環境によって、適宜入れ替えが必要です。酸性タイプの薬剤だと、鉄製の花器を腐食させる恐れがあるので、延命剤に含まれる成分の確認が必要です。
切り花延命剤の種類
1. 液体・粉末
切り花延命剤には、大きく液体と粉末タイプがあります。液体が一般的で使いやすいのですが、内容量が多いものは、開封して長期間置いておくと変色する恐れがあります。そのため、分包タイプも販売されています。
2. 成分による分類
延命剤に含まれる成分によって、効果が異なります。
- グルコースやサッカロースなどの炭水化物が含まれる場合
花の色や鮮やかさ、香りを保持します。 - ショ糖・ぶどう糖などの糖類が含まれる場合
糖類が花にエネルギーを補給することで、花弁や開花した状態をきれいに保ちます。 - 酢酸銀や硝酸銀のような殺菌作用成分が含まれる場合
水が濁ったり、腐敗するのを防ぐ効果があります。 - 陰イオン系や陽イオン系のような界面活性剤の場合
水の吸い上げを良くする効果があります。銀が抗菌剤として入っているものは、陰イオン系の薬剤を使用することで、切り花を安定した状態に保ちます。
あらゆる切り花としての延命剤がほとんどですが、バラ専用など花に特化したものや、鉄製の花器専用のものも存在します。
切り花延命剤の選び方
液体が一般的ですが、普段花を生ける機会がない場合は、粉末タイプのものがおすすめです。種類で述べたように、成分によって花の保ち方が異なるので、どう切り花を生けたいかを優先して選ぶと良いです。
含まれる成分によっては、生ける花器を選ぶ必要があります。真鍮や銅などの花器には注意が必要なので、購入前に確認することをおすすめします。
切り花延命剤の使い方
花屋などでもらう一般的な液体の延命剤 (約3ml) の場合は、水を入れた花器に直接入れ、軽く混ぜます。目安の水量は約500mlです。
テーブルの上などに小さく飾る場合は、500mlのペットボトルに延命剤を溶かしておいて、必要な量だけ花器に移して使用します。溶かした延命剤は早めに使用することをおすすめします。
延命剤を入れた後は、2~3日様子をみます。季節や生ける環境によって1週間そのままにしてもよい場合もあれば、こまめに取り換えなければならない場合もあるため、柔軟な対応が必要です。
切り花延命剤のその他情報
切り花のお手入れ方法
延命剤の効果をより発揮するためには、切り花自体のお手入れを工夫する必要があります。茎を切ってから時間が経っている場合、ヌメヌメした状態になっているため、茎を優しく丁寧に洗うと良いです。
痛んでいる茎は、痛んでいるところから1~2cm離して、水に漬けた状態で斜めに切ります。ハサミでもよいですが、カッターだと切り口がきれいに仕上がります。切り口の表面積が大きくなり、吸い上げがよくなります。
また、花器の中にバクテリアが増えないよう、塩素系の漂白剤で清潔に保っておくことが大切です。