紫外線強度計

紫外線強度計とは

紫外線強度計とは、特定波長の紫外線の強度を測定する機器です。

紫外線は波長が10~380nmと非常に短く、人間の目には見えない電磁波です。可視光線の紫の外側ということから紫外線と呼ばれます。紫外線は波長が短いためエネルギーが高く、殺菌や様々な工業的用途で使用されています。一方で、DNAには紫外線の特定波長に吸収帯があり、紫外線によってDNAが傷ついてしまうことから人体には有害です。紫外線を適切に管理して使用する目的や、太陽光に含まれる紫外線を測定する目的で、紫外線強度計は使用されています。

紫外線強度計の使用用途

1. 概要

紫外線強度計の一つの用途は太陽光に含まれる紫外線を測定することです。それ以外では、人為的に紫外線を利用する際に、光量を測定し、管理する目的で使用されます。紫外線には非常に多様な用途が有り、下記はその例の一部です。

  • 半導体、液晶、PCB製造における、レジスト硬化、シーリング、接着処理
  • プリント基板の印刷、乾燥、実装ライン
  • 各種産業における殺菌工程
  • 食品加工
  • 半導体、FPD、プリント基板などのフォトリソ工程管理
  • 印刷、製版における感光材
  • 太陽電池の特性評価
  • 光電気反応、光化学反応、光放射バイオ反応の利用
  • 医療 (紅斑、色素沈着、白斑病治療、光過敏症診断)
  • 歯科における紫外線硬化樹脂の使用
  • 家畜、魚類の成育促進・管理
  • 植物の徒長抑制や光合成環境管理
  • その他、学術研究

例えば、紫外線照射用のランプが劣化して紫外線の強度が低下してしまうと、硬化させる樹脂が上手く固まらないなどの問題が生じます。そのため、紫外線の照射を伴う作業の場合は、紫外線強度計で定期的に強度を確認する必要があります。

2. 紫外線強度計を必要とする照射装置の例

以下のような各種紫外線照射装置の保守管理で、紫外線強度計が使用されています。

  • 紫外線ランプ
  • 露光装置
  • 紫外線消毒装置、殺菌装置
  • 紫外線硬化装置
  • 紫外線表面処理装置

高圧水銀ランプやエキシマランプをはじめとする紫外線ランプは、使用に伴い劣化し、紫外線強度が低下します。そのため、紫外線強度計で定期的に強度を確認することは大切です。半導体産業などの厳密な紫外線強度を求める分野で特に必要とされています。

紫外線強度計の原理

紫外線強度計はシリコンフォトダイオードを主な動作機構として動作する装置です。フォトダイオードのPN接合部に紫外線が当たることで、電子と正孔が生まれます。電子はN型領域、正孔はP型領域へと移動し、その結果、フォトダイオードに電流が流れる仕組みです。これは、光電効果の一種である光起電力効果を利用しています。

この際に流れる電流は紫外線の強さに比例するため、電流値の変化を測定することにより紫外線量を定量化することが可能となります。

紫外線強度計の種類

紫外線強度計には、太陽光を測定するための機器や、工業用・産業用に利用される紫外線を計測するための機器等の種類があります。

1. 太陽光測定用

太陽光測定用の紫外線強度計は、UVA/UVB/UVCなどの波長別に測定を行うことが可能です。製品によって、測定可能な波長が異なる他、複数の波長の光を合算して計測する (UVAとUVBなど) 場合もあるため、注意が必要です。紫外線のカット能力の判定や、教育用、劣化作用の検証などに用いられます。中には、測定した数値から人体のビタミンD3の体内生産量を推定することが可能な製品もあります。

2. 工業用・産業用

工業用の紫外線強度計には様々な波長域の種類があります。230~280nm、350~490nm、290~430nmなどの種類があり、ピーク感度波長は、255nm/355nm/410nmなどです。照射装置の強度分布・交換時期の管理などに使用されます。

内蔵メモリを保有している他、USBメモリなどで書き出すことが可能な場合が多いです。工業的用途であることから、本体が耐熱構造である場合もあります。リアルタイム照度やピーク値だけでなく、積算光量や偏差などの多種測定が可能な機種もあります。目的や用途に合わせて最適なものを選定することが可能です。

参考文献
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol13.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です