ゴム金型

ゴム金型とは

ゴム金型とは、加熱や圧力を加えることでゴム材料を特定の形状に成形する役割を担う、ゴム製品の成形加工に使用される金型のことです。

ゴムは弾性が高く、一般的な金属やプラスチックとは異なる特性を持つため、成形方法や金型の設計には独自の技術が求められます。ゴム金型には、主にコンプレッション成形、トランスファー成形、インジェクション成形の三つの方式があり、それぞれ異なる用途や製品に適用されます。コンプレッション成形は、ゴム材料を金型に直接投入し、加熱・圧縮することで成形する方法で、比較的単純な形状の製品に適しています。トランスファー成形は、加熱したゴムを金型内へ圧入することで、より複雑な形状や高精度な成形を可能にします。インジェクション成形は、溶融したゴムを高圧で射出する方法で、大量生産や複雑形状の製品に適しています。

ゴム金型の使用用途

ゴム金型の主な使用用途は以下のとおりです。

1. 自動車

ゴム金型は、自動車産業において広く使用されています。特に、ドアシール、ウィンドウシール、エンジンマウント、ガスケット、ブッシュ、ホース類など、車両の耐久性や密閉性を向上させる部品の製造に欠かせません。これらの部品は、高温や低温、振動、圧力変化などの厳しい環境下で使用されるため、耐熱性や耐候性、耐油性に優れたゴム材料が求められます。インジェクション成形やトランスファー成形による高精度な加工技術が採用され、品質の安定した製品が大量生産されています。

2. 産業機械・建設機械

産業機械や建設機械向けのゴム部品として、防振ゴム、シール材、Oリング、パッキンなどが挙げられます。これらの部品は、機械の振動を抑えたり、オイルや水の漏れを防いだりする役割を担い、機器の性能や耐久性に大きく影響を与えます。特に、コンプレッション成形やトランスファー成形によって製造される防振ゴムは、機械の寿命を延ばし、騒音や振動の低減に貢献します。建設機械では、大型のゴム部品が使用されることが多く、耐摩耗性や耐衝撃性が重要視されます。

3. 電子機器・家電機器

電子機器や家電製品にもゴム金型を用いた部品が多く採用されています。例えば、リモコンのボタン、パッキン、シール材、絶縁ゴムなどが代表的な製品です。これらの部品は、操作性の向上や防水・防塵対策のために不可欠であり、精密な寸法管理が求められます。特に、シリコーンゴムを使用した製品は、耐久性や柔軟性が高く、スマートフォンやタブレットの防水シール、キーボードのシリコーンキーなどに活用されています。

4. 医療・食品関連部品

医療機器や食品関連製品にも、ゴム金型を用いた部品が使用されています。医療分野では、カテーテル部品、シリンジパッキン、医療用シール材、人工器官用ゴム部品などがあり、厳しい安全基準を満たす必要があります。シリコーンゴムやフッ素ゴムなど、生体適合性に優れた素材が使用され、高い清潔性と耐薬品性が求められます。また、食品分野では、食品用パッキン、ゴムホース、シール材などが使用され、安全性や耐熱性に優れた材料が選ばれています。

参考文献
https://media.inaki.co.jp/molding
https://www.fujigom.co.jp/manufacturing/20230927-966/