モールディング装置

モールディング装置とは

モールディング装置とは、半導体や電子部品の製造工程において、デバイスを外部環境から保護するために樹脂で封止する装置のことです。

半導体チップや電子部品は、湿気や汚れ、衝撃などの外的要因により性能が劣化する可能性があるため、これらを防ぐ目的でモールディング工程が行われます。モールディングには、主にトランスファーモールディングやコンプレッションモールディングなどの方法があり、製品の特性や要求に応じて適切な技術が選択されます。トランスファーモールディングでは、加熱された樹脂を金型内に圧入して封止するため、高い生産性と均一な仕上がりが得られます。一方、コンプレッションモールディングは、予め成形された樹脂を金型内で圧縮して封止する方法であり、特定の用途に適しています。モールディング装置は、集積回路 (IC) 、パワーデバイス、センサー、発光ダイオード (LED) パッケージなど、幅広い電子部品の製造に使用されており、製品の信頼性向上や長寿命化に貢献しています。

モールディング装置の使用用途

モールディング装置の主な使用用途は以下のとおりです。

1. ICの封止

モールディング装置は、マイクロプロセッサ、メモリ、アナログICなどのICの封止に広く使用されます。ICチップは非常に小型であり、外部環境の影響を受けやすいため、モールディングによって湿気や酸化、機械的ストレスから保護されます。特に、トランスファーモールディング方式が多く採用され、高い生産性と均一な品質が求められる大量生産に適しています。パソコン、スマートフォン、家電製品など、あらゆる電子機器に搭載されるICの耐久性向上に貢献しています。

2. パワーデバイスの封止

パワー半導体やパワーモジュールは、高電圧・高電流を制御するため、自動車、産業機器、電力設備などで使用されます。これらのデバイスは発熱が大きいため、封止時に熱放散性の高い樹脂を使用し、効率的な放熱対策を施す必要があります。特に、電気自動車や再生可能エネルギーの普及に伴い、高耐久性・高信頼性のモールディング技術が求められています。

3. センサーやMEMSデバイスの保護

モールディング装置は、圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、MEMS (微小電気機械システム) デバイスの封止にも使用されます。これらのデバイスは、小型で精密な構造を持つため、モールディング工程では樹脂の流れを最適化し、機能に影響を与えないように封止することが重要です。自動車の安全システム、医療機器、IoTデバイスなどに組み込まれるため、耐久性や信頼性を確保する技術が必要とされています。

4. LEDパッケージの封止

LEDもモールディング装置を用いて封止される代表的な電子部品の一つです。LEDパッケージは、光透過性の高い樹脂で封止されることで、発光効率や耐久性が向上します。特に、照明用途のLEDやディスプレイ向けの高輝度LEDでは、樹脂の黄変や劣化を抑えるための高耐久封止技術が求められています。近年では、自動車のヘッドライトやディスプレイ、スマート照明など、多様な用途でLEDの性能向上が進められています。

参考文献
https://semicon-blog.com/molding/
https://semi-journal.jp/basics/process/molding.html