気管内チューブ

気管内チューブとは

気管内チューブとは、患者の気道を確保し、人工呼吸を行うために気管内に挿入される医療用チューブです。

主に全身麻酔下での手術や、重篤な呼吸不全、緊急時の気道確保が必要な場合に使用されます。このチューブは、患者の口または鼻から気管内に挿入され、呼吸をサポートするために人工呼吸器と接続されます。気管内チューブには、成人用や小児用など、患者の体格に応じたさまざまなサイズがあります。また、カフ (気密性を保つための風船状の部分) が付いているタイプと付いていないタイプがあり、使用目的や患者の状態に応じて選択されます。

気管内チューブの使用用途

気管内チューブの主な使用用途は以下の通りです。

1. 全身麻酔下の気道管理

全身麻酔を受ける患者は、麻酔薬により自然呼吸が抑制されるため、気管内チューブを挿入して人工呼吸器を接続します。これにより、術中の酸素供給が確保され、患者の安全が守られます。

2. 新生児や小児の呼吸管理

呼吸障害を持つ新生児や小児に対し、小型の気管内チューブを使用して人工呼吸器を接続します。特に未熟児や呼吸窮迫症候群を患う新生児では重要です。

3. 緊急時の気道確保

気道が閉塞している患者 (例: 気道異物、アナフィラキシーショック、外傷など) に対し、迅速に気管内チューブを挿入することで生命を救う重要な役割を果たします。

4. 気道閉塞の予防

気道の腫れや異物、外傷による気道閉塞のリスクがある患者に対し、事前に気管内チューブを挿入して安全な気道を確保します。

5. 心肺蘇生 (CPR) 中の気道確保

心肺停止状態の患者に対して、気管内チューブを挿入して気道を確保し、効率的な人工呼吸を行います。これにより、酸素が脳や重要臓器に供給され、蘇生率が向上します。

6. 外科手術中の使用

手術中に患者の呼吸状態を維持するため、人工呼吸器と接続して酸素供給を管理します。また、手術中の誤嚥や気道閉塞を防ぐためにも使用されます。