光干渉断層計

光干渉断層計とは

光干渉断層計 (OCT – Optical Coherence Tomography) とは、光の干渉を利用して、物の表面や内部の細かい構造を非接触・非侵襲で調べ、その様子を画像化する技術です。

この技術は、マイケルソン型やマッハツェンダー型といった干渉計を使い、低コヒーレンス干渉という方法で高精度な断層像を作り出します。接触せずに内部構造が確認できることから、医療や研究、芸術のいった幅広い分野で活用されています。

光干渉断層計 (OCT) は、光源の種類や干渉光の測定方法によって異なり、以下のように分類されます。

  • TD-OCT (時間領域OCT)
  • FD-OCT (周波数領域OCT) 

TD-OCTでは、低コヒーレンス光源と光検出器が用いるのが特徴です。一方FD-OCTは、さらに2つの方法に分けられます。1つは、低コヒーレンス光源と分光器を使用するSD-OCT  (スペクトル領域OCT)  、もう一1は、波長掃引光源と光検出器を使用するSS-OCT (周波数走査OCT) です。

光干渉断層計の使用用途

光干渉断層計 (OCT) の使用用途については、以下の分野で幅広く活用されています。

1. 医療分野

光干渉断層計(OCT)は、非侵襲・非接触で高解像度の画像を取得できる技術として、医療分野で幅広く利用されています。この技術は、染料を使うことなく、生体器官の毛細血管を詳細に観察できるため、特に眼科や循環器科で重要な役割を担います。OCTを医療分野で用いることによるメリットは、高精度な診断が可能となることです。これにより早期の問題発見や効果的な治療に貢献しています。また、皮膚や歯肉などの生体組織の微細構造を計測するためにも用いられ、診断や治療の精度向上に寄与しています。OCTは、患者に対する負担を最小限に抑えつつ、精密な内部構造の観察を可能にするため、医療現場での重要なツールのひとつです。

2. 産業分野

光干渉断層計 (OCT) は、非破壊・非侵襲で製品の評価を行えるというのが特徴です。この強みを活かし、産業分野でも広く利用されています。こうした技術は、薄膜の厚さ測定や微細なキズ、粒子の検出、さらには製品の形状評価にも使用されています。OCTは、製品内部を傷つけることなく、精密な検査を行うことができるため、品質管理や不良品の早期発見において重要な役割を果たしています。

3. 芸術分野

光干渉断層計 (OCT) は、非破壊で3次元情報を取得し、イメージングできるのが特性です。そのため、芸術作品の保存や修復に役立っています。OCTを使用して絵画をスキャンすると、画家の筆跡や表面のひび割れ、さらには過去に行われた修復の痕跡など、作品の詳細な状態を把握することが可能です。OCTは作品に傷を付けることなく、内部構造の正確な可視化ができるため、修復作業の方針を決定する際に重要な情報を提供します。