原子吸光分析装置

原子吸光分析装置とは

原子吸光分析装置 (Atomic Absorption Spectrometer, AAS) とは、特定の元素を分析するための機器のことです。

原子吸光分析装置は、試料中の特定の元素が光を吸収する特性を利用して元素の濃度を定量的に測定します。

原子吸光分析装置は、光源、サンプル導入、フレームまたは炉、モノクロメーター、検出器で構成されています。試料中の元素を高温で原子化し、原子状態が特定の波長の光を吸収する量 (吸光度) を測定して濃度を算出することが可能です。

原子吸光分析装置の使用用途

原子吸光分析装置の使用用途として、環境分野、食品分野、医療・生化学分野、鉱業・冶金分野、教育・研究分野の5つを解説します。

1. 環境分野

環境中の重金属や有害元素の監視に原子吸光分析装置が使用されます。例えば水質汚染の調査では、鉛やカドミウムなどの微量金属の検出が可能です。また土壌や大気中の微量金属成分の分析にも利用され、環境保護の分野でも利用されています。

2. 食品分野

食品中の栄養素や有害金属の定量で使用されています。特に鉄やカルシウムなどの栄養素を分析することで、食品の栄養価評価を行います。

3. 医療・生化学分野

血液や尿などの生体試料中に含まれる微量元素を分析し、病気の診断で活用されています。例えば体内の亜鉛やセレン濃度の測定は、栄養不良や特定の病気の診断に有用です。

4. 鉱業・冶金分野

鉱石中の金属成分の濃度を測定し、採掘の効率化や鉱山の評価に利用されます。冶金分野では、製品中の微量元素を管理し品質向上を図ります。

5. 教育・研究分野

大学や研究機関では、化学分析の実験装置として授業や研究で使用されます。特に化学分野や材料科学の研究で、未知試料の成分特定や物質構造の解析などの使用用途があります。

参考文献
https://azscience.jp/column/category/top05-sub03/