ダストモニタとは
ダストモニタとは、集塵機からの発塵を監視する粉塵計です。
工場などから排出される排気中に含まれる粉塵は、大気汚染や健康被害の原因となるため、集塵機を用いて汚染を防止する必要があります。ダストモニタを用いて、集塵機からのダストの微量な漏れをモニタリングすることで、適切に集塵機が稼働しているかをチェックすることができ、また不具合の際も粉塵の漏れ始めをすばやく検出することができます (予知保全) 。
ダストモニタの使用用途
工場などから排出される粉塵は、大気中に放出されると環境と健康に悪影響を及ぼします。現在、多くの工場では粉塵を大気へ排出しないように集塵機を設置していますが、安全のためには集塵機の不具合やメンテナンスミスなどが発生しないよう、モニタリングを行うことが必要です。また、モニタリングを行うことで集塵機フィルターを最後まで使い切ることができるようになり、廃棄物削減とコスト削減に貢献することも可能です。
ダストモニタは、このような集塵機に不具合(故障や劣化など)が起きていないかをモニタリングするため、使用されています。業種を問わず、排ガスや粉塵の処理のある様々な工場で使用されている装置です。尚、通常の工場粉塵だけでなく、放射性物質の濃度を測定する場合に専用のダストモニタが用いられることもあります。
ダストモニタの原理
ダストモニタは集塵機の二次側配管に取り付けられます。24時間常時測定を行い、粉塵が規制値を超える前に警報を発します。
ダスト濃度を測定する機器の性能評価方法はJIS規格として規定されており、光散乱方式、光透過方式及び摩擦静電気検出方式の3種類の方式について性能評価方法が規定されています。
1. 光散乱法
ダストモニタの測定法の一つである光散乱法は、粉塵によって散乱する光を計測して粉塵濃度を測定する方法です。吸引ファンを用いて、空気吸引口から連続的に浮遊粉塵を取り込み、白色光やレーザー光を粉塵に照射します。
粉塵から発せられた散乱光の量を連続的に受光部で検知して、その光量を光電変換素子で電気信号に変換します。こうして得られた単位時間当たりの散乱光量 (cpm: counts per minute ) の濃度値にK値 (質量濃度変換係数 ) を掛けることにより、粉塵の質量濃度 (mg/m3) を求めることが可能です。
2. 光透過法 (吸光光度法)
光透過法 (吸光光度法) は、粉塵による光の減衰量を利用して計測する方法です。連続的に浮遊粉塵を取り込み、白色光やレーザ光を粉塵に照射して、粉塵による光の減衰量を光電変換素子で電気信号に変換します。この光の減衰量 (透過率) の対数値に比例する相対濃度を求めて、粉塵濃度 (mg/m3) とします。
3. 摩擦静電気検出方法
摩擦静電気検出方法とは、電荷の移動を利用する検出方法です。排ガス中にプローブ状の電極を挿入すると、ダストが電極に衝突する、或いは、近傍を通過する際に電荷の移動が生じます。この電荷の移動は、ダスト濃度と相関関係にあります。
集塵機に取り付けられるダストモニタには摩擦静電気検出方式の製品が最も多く、直胴ダクト内にプローブを差し込んで測定が行われます。
ダストモニタの種類
ダストモニタの製品種類には様々なものがあります。上述の検出方法の種類のほか、センサ部・変換器が一体型となっているものや、分離型となっている別置き構造のものがあります。別置き構造のメリットは、変換器側で測定レンジやデータ平滑化、表示方法を設定することが可能であり、また、変換器側のみを交換することもできるという点です。変換器側のデータの表示方法には、%表示の製品とmg/m3表示の製品などがあります。
温度耐性については、250℃以下の通常仕様の製品の他、400℃以下の高温仕様の製品もあります。また、防爆仕様の製品もあり、防爆仕様と共に防塵防滴構造になっている場合もあります。