化成処理

監修:株式会社カワイ化工

化成処理とは

化成処理とは、材料表面に化学的な方法で皮膜を形成して耐食性や耐摩耗性を向上させる処理技術です。

一般的な化成処理には酸化皮膜の形成や金属表面に特定の化学物質を吸着させる処理などが使用されます。これらの処理によって金属部品を保護し、耐久性や機能性を向上させるために広く利用されます。

化成処理にはクロムフリーなどの環境に優しい方法も存在します。これらの処理は環境負荷を低減しながら金属部品の性能を向上させることが可能です。

化成処理の使用用途

化成処理は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 自動車産業

自動車産業では化成処理が広く利用されます。一例として、化成処理を実施することでアルミニウム合金部品の表面に酸化皮膜を形成し、耐食性や耐摩耗性を向上させるものもあります。これにより、シャシーなどの金属部品の耐久性を向上させ、車両の寿命を延長することが可能です。

また、鉄や亜鉛めっきなどの部品の表面にクロム皮膜を形成し、耐食性を向上させます。これにより、ボルト・ナットやボディーパネルなどの耐候性を向上させ、長期間の屋外使用に適した材質とすることができます。

2. 電子機器産業

電子機器産業では金属部品の保護などのために化成処理が重要です。金属基板やコネクタなどの金属部品は化成処理によって耐食性を向上させ、外部環境からの影響を受けにくくする場合があります。これにより、電子機器の性能や信頼性が向上し、長期間使用することが可能です。

3. 航空宇宙産業

航空宇宙産業では過酷な環境下で使用に耐える金属部品の製造が求められます。化成処理は航空機や宇宙機器の金属部品の耐食性や耐久性を向上させるために重要です。

例えば、耐食性を持たせるために、化成処理が行われます。これにより、航空機の構造部品やエンジン部品などが長期間使用することが可能となり、安全性も確保することが可能です。

4. 建設業

建設産業では屋外で使用される金属部品の製造が重要です。化成処理は建築用金属部品や構造物の耐候性や耐久性を向上させるために利用されます。鉄や鋼の部品に対して化成処理を行うことで、建築物の外装や構造部品の耐久性を維持し、安全性を確保することができます。

化成処理の原理

化成処理の原理は、処理される金属表面と処理液との間で起こる化学反応に基づいています。化学反応によって、金属表面に保護皮膜が形成される仕組みです。保護皮膜は金属表面を覆い、耐食性や耐摩耗性を向上させます。

また、処理液中の成分が金属表面に吸着し、表面の物理的・化学的特性を変化させる場合もあります。これによって、金属表面の性質が改質され、耐食性や耐摩耗性を向上させることが可能です。

対象となる金属は様々であり、代表的な材質としてはアルミニウムや鉄鋼などがあります。亜鉛メッキ鋼板などに適用されることも多いです。処理液の成分や条件が適切であることが、効果的な化成処理の実施に必要です。

化成処理の種類

化成処理には複数の種類が存在します。以下はその一例です。

1. 三価クロム化成処理

三価クロム化成処理はクロム酸塩を主成分とする処理液を用いて金属表面を処理する方法です。この処理により、金属表面に微細な皮膜が形成され、耐食性や耐腐食性が向上します。また、三価クロム化成処理は環境にやさしい処理方法として知られています。

2. リン酸亜鉛処理

リン酸亜鉛処理は亜鉛めっきされた金属表面にリン酸塩を含む処理液を用いて処理する方法です。この処理により、金属表面にリン酸亜鉛皮膜が形成され、耐食性や耐摩耗性が向上します。密着性があり、塗装や塗装前処理の基礎としても使用されます。

3. リン酸鉄処理

リン酸鉄処理は鉄や鋼などの金属表面にリン酸塩を含む処理液を用いて処理する方法です。この処理により、金属表面にリン酸鉄皮膜が形成されます。黒色や青色の外観を持ち、装飾用途や外装部品などにも利用されます。

4. ジルコニウム系化成処理

ジルコニウム系化成処理はノンクロム化成処理とも呼ばれ、ジルコニウム化合物を含む処理液を用いて金属表面を処理する方法です。ジルコニウム皮膜は透明で、金属表面の外観を変化させずに保護することが可能です。

本記事は化成処理を行う株式会社カワイ化工様に監修を頂きました。

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