巻き付けヒーターとは
巻き付けヒーター (英: band heater)とは、熱源が取り付けられた円筒形または帯状の加熱装置です。
バンド状のヒーターで、主に産業や製造プロセスでの加熱用途に使用されます。固体や液体を必要な温度まで加熱するために用いられます。温度を制御するためのセンサーや温度コントローラーと共に設置されることが多いです。
巻き付けヒーターは取り付けや操作が比較的簡単で、異なるサイズや形状の容器やパイプに取り付けることができます。また、温度制御装置と共に設置されることが多いため、所定の温度を簡単に維持することが可能です。
その他、加熱対象物の表面に均一な熱を提供する点も特徴です。これにより、熱が一カ所に対流することを防ぎます。また、巻き付けヒーターは過熱や火災のリスクを最小限に抑えるべく設計されている場合も多いです。
巻き付けヒーターの使用用途
巻き付けヒーターは、さまざまな産業や用途で使用される加熱装置です。以下は巻き付けヒーターの使用用途です。
1. プラスチック成形
プラスチック成形工程では、プラスチック原料を特定の形状に成形するために加熱が必要です。巻き付けヒーターはプラスチック成形機に取り付けられ、原料の融解や柔軟化に使用されます。プラスチック製品の製造に広く使用されており、プラスチックボトルやケースの製造などがその一例です。
2. プロセス工場
化学プロセスにおいて、巻き付けヒーターは反応容器や配管の加熱に使用されます。化学反応は温度の維持が必要となる場合があるため、巻き付けヒーターによって反応物を所定の温度に維持し、反応の速度や効率を向上させることが可能です。化学合成や蒸留などのさまざまプロセスに適用されます。
また、水などの液体を流通する配管は、冬場には内部が凍結してしまうことも少なくありません。水は凍結すると体積が膨張するため、内部圧力が上昇して配管が破裂してしまいます。配管の破裂は修理費用の増大や工場の稼働停止を招くため、巻き付けヒーターによって凍結防止することも多いです。
3. 食品産業
食品産業では巻き付けヒーターはさまざまな用途に使用されています。オーブンやトースター内に巻き付けヒーターが組み込まれており、パンやピザの焼成や料理の保温などに活用されることが多いです。また、チョコレートや砂糖を溶かすための加熱装置としても使用され、製菓業界でも重要な役割を果たしています。
巻き付けヒーターの原理
巻き付けヒーターは円筒形の管状または帯状の発熱体が取り付けられたデバイスです。形状を自在に変化させることができるため、さまざまなサイズのタンクや配管に取り付けるのに適しています。
巻き付けヒーターは電気によって発熱する製品がほとんどです。一般的にニクロム合金などの高抵抗材料でできた発熱素子が組み込まれています。この発熱素子に電流を流すと、電気抵抗によって発熱する仕組みです。
なお、巻き付けヒーターは被加熱対象物の外側に巻き付けて使用します。一例としては配管やタンクなどの表面に巻かれて運用することが多いです。発熱素子が直接接触しているため、被加熱対象物の表面が均一に加熱されます。
発熱素子から放射された熱が被加熱対象物に伝導され、被加熱対象物の温度が上昇する仕組みです。多くの巻き付けヒーターには温度センサーと制御装置が組み込まれており、所定の温度を維持するために制御して使用されます。温度が設定値を超えた場合、制御装置は電力供給を遮断又は調整して温度を安定させます。
巻き付けヒーターの選び方
巻き付けヒーターを選ぶ際に考慮すべき要因はいくつかあります。以下は主要な選定要素です。
1. 電源電圧
巻き付けヒーターの電源電圧は、使用する電源に合わせて選択する必要があります。使用される電源電圧は単相 100Vや単相 200V、三相 200V、三相 400V などが一般的です。ヒーターの仕様書やラベルに電源電圧の情報が記載されているため、電源に合致した電圧で動作する製品を選定します。
2. 加熱電力
加熱電力はヒーターが発生する熱の量を示す指標です。必要な加熱電力は被加熱対象物の種類や温度要件に応じて選定します。通常はヒーターの仕様に加熱電力が記載されており、適切な加熱要件に合致するか確認する必要があります。
3. リード被覆
ヒーターのリード線は、使用温度に耐えるための適切な被覆材を使用することが必要です。特に高温環境では耐熱性のある被覆が必要となります。シリコーンやガラス繊維、PTFE(テフロン)などを使用することが多いです。
4. 長さ
ヒーターの長さは、被加熱対象物のサイズに合わせて選択します。ヒーターは対象物にしっかりと巻きつける必要があり、長さが不足すると均一に加熱が行えません。特に配管加熱用の場合は、長い製品を選定するケースが多いです。