セーフティスイッチ

セーフティスイッチとは

セーフティスイッチは、工作機械本体の扉や周囲の安全柵など、安全を確保すべき場所に設置する装置です。

安全スイッチとも呼ばれています。工作機械の扉や周囲の安全柵などが閉まっていない状態で機械が駆動した場合、事故に繋がる可能性があります。これらが閉まっているのを検知し、その時だけ機械の駆動を許可するのがセーフティスイッチです。扉や安全柵をロックする機能が付いているものもあります。

セーフティスイッチの使用用途

セーフティスイッチは、安全確保のために設けられる工作機械自体の扉や、機械の周りの安全柵の開閉を検知し、機械の駆動を制御するために使用されます。インターロック装置として使用されるのが、主な用途です。

インターロック装置とは、機械など駆動する機械の周囲の安全が確保されていない状態では、当該機械の動作や起動を許可しない働きをする装置です。機械稼働中に機械自体の扉や周囲の安全柵が開かないようにロックをかけたい場合のために、ロック機能付のものもあります。

セーフティスイッチの原理

セーフティスイッチは、アクチュエーターと本体からなります。アクチュエーターは、専用の形状を有した、いわば鍵としての機能をするものです。扉や安全柵の可動部分に取り付けられます。

セーフティスイッチの本体には、アクチュエーターの挿入口があります。本体は、扉が閉まるとアクチュエーターが挿入口に入る場所に固定された状態になります。本体の中には機械に駆動を許可する信号を伝えるための電気的接点が設けられています。すなわち、扉が閉まり、アクチュエーターが本体の中に挿入されてはじめて電気的接点が切り替わり、機械に駆動を許可する信号を送る仕組みです。

ただし、このシステムでは機械が駆動した時に扉や柵がロックされるわけではありません。そこで、ロック機能を持ったセーフティスイッチも製造されています。

セーフティスイッチのその他の情報

1. 具体的な使用例

一般的な使用例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 工作機械の安全確保
    各種工作機械は、高速回転を伴うとともに、加工時の切りくずなどが飛んでくるおそれがあり非常に危険です。また、多くの工作機械は加工終了後に即時停止せず、一定時間惰性での稼働が続きます。このため、作業者が危険な目にあわないよう、セーフティスイッチを機械の扉に設置して機械が完全に停止しない限り扉が開くことがないように設定されます。
  • 多軸ロボットアーム周辺の安全確保
    多軸のロボットアームは、様々な分野の製造ラインの組み立て工程などで活躍しています。ロボットアームは様々な方向に回転するため、可動領域内に作業者がいるとロボットアームの動作に巻き込まれる可能性があり、安全の確保が必要です。
    そこで、ロボットアームの可動領域周辺に柵を設け、柵の開閉部にセーフティスイッチを設置します。作業者が柵の外に出て扉を閉じない限り、ロボットが起動しないようにすれば安全を確保できます。
  • 複数のロボットアームが稼働する生産ライン
    装置自体の安全確保のためにセーフティスイッチを使用する場合もあります。特に複数台のロボットアームが連動して稼働する生産ラインなどです。予期せぬタイミングで動作が始まるとロボットアーム同士が接触し破損してしまう可能性があるためです。

2. ロック機能のあるセーフティスイッチ

ロック機能があるセーフティスイッチについて解説します。一般的に、内部構造として「カム」と「ロッド」の関係によるロック機構を有しており、扉の開閉などに応じて「カム」と「ロッド」が動くことにより、ロック状態を切り替えることができるようになっています。ロック方式としては、主に以下の2つがあります。

  • スプリングロック方式
    スプリングの伸縮を用いてロックをするため、電源切断時にも機械的なロック状態を保持できます。このことから、惰性で動きすぐに停止できないものへの使用に適しています。
  • ソレノイドロック方式
    ソレノイドの力でロックを行うため、電源切断と同時にロックも解除されます。このため、電源切断後に即停止できるものへの使用に適しています。

3. セーフティスイッチのその他のタイプ

セーフティスイッチには、非接触式のものもあります。物理的な接触ではなく、磁気検知や電磁誘導で両者の距離を検出するのが非接触式のタイプです。アクチュエーターと本体の嵌合などによるチリやホコリを避けたい場合に使用されます。クリーンルーム内の設備や食品製造ラインなどでの使用に適しています。

参考文献
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20120828/236140/?P=5
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20121025/247572/
https://www.keyence.co.jp/products/safety/safety-door/

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