3Dマシンビジョン

3Dマシンビジョンとは3Dマシンビジョン

3Dマシンビジョンとは、機械や部品の位置や構えなどを3次元で認識するシステムのことです。

マシンビジョンは、画像を取り込み処理した結果に基づいて機器を動作させるシステムを指します。その中でも特に3D情報を扱うものが、3Dマシンビジョンです。

従来のマシンビジョンの課題として、ロボットが効率よく作業するためには、ロボットが苦手とする工程を人によって修正する作業などが必要になることが挙げられます。3Dマシンビジョンは、かねてから工程の時間や作業を圧迫していたこの課題を、画像処理を2次元処理から3次元処理に変更することで解決しました。

3Dマシンビジョンの使用用途

3Dマシンビジョンは、大きく3つの目的に使用されています。

1. 寸法計測

自動車業界ではさまざまな部品の寸法計測、ドア段差や隙間の計測に、物流では荷物の3辺計測や容量計測、食品業界では食肉の自動スライス、等級の仕分け、菓子の製造ばらつきの判定に用いられています。

2. 外観検査

自動車部品のキズや打痕検査、電気電子分野ではプリント基盤やワイヤーボンディングの検査、食品業界では菓子の欠けの検査などに導入されています。

3. 位置決め作業

さまざまな工業製品のピッキング作業、物流作業におけるでパレタイズ、デバンニングなどが挙げられます。

3Dマシンビジョンの原理

3Dマシンビジョンの原理は、パターン投影、距離測定、部品認識の3ステップに大別できます。

1. パターン投影、距離測定

まずパターン投影、距離測定の工程において、対象物に対して複数のパターンを投影し、対象物の距離を測定します。

2. 部品認識

次に部品認識の工程で、事前に登録した辞書データと3DCADモデルによって部品の位置などを認識し、ロボットアームのハンドが対象物以外に接触せずに動作できるかの可否判定を行います。

3. 動作

最後に判定の結果をロボットコントローラに転送し、実際にロボットに動かします。

3Dマシンビジョンのその他情報

1. 従来のロボットビジョンと3Dマシンビジョン

従来のロボットビジョンの多くは、例えば平置きされた部品をロボットアームなどで取得するようなシステムに用いられていました。これは、ある程度秩序を持って2次元平面的に整列された部品をビジョンで撮像・画像処理し、部品の位置ズレや位相ズレをキャンセルしてロボットアームでピックアップするようなシステムです。

しかし近年では、バラ積みされた部品をロボットアームでピックアップするようなシステムが求めらるようになってきました。ところが、2次元平面を前提として構築されていた従来のロボットビジョンシステムでは、バラ積みされた部品への対応できません。そこで注目されたのが、3Dビジョンシステムです。

2. 3Dマシンビジョンの課題

現在の3Dマシンビジョンの課題は、外乱や少しの誤差に弱いことです。外乱とは、3D画像を取得する際の光源などです。バラバラに積まれた部品を認識する際に、光源が変わると、3Dマシンビジョンでは部品が認識できなくなってしまうことがあります。

3Dマシンビジョンにとって、照明はそれほど重要な要素です。何らかの外乱によってその条件が崩れると、実装されているアルゴリズムでは対応できず、システムとして成り立たなくなる事態が発生することがあります。

また、部品箱内の部品は厳密に言うと全て異る形をしています。部品個々に細かい傷や少しの寸法誤差があるためです。部品がきれいに整列されていれば、このような違いがあっても影響がない場合がほとんどですが、バラ積みされた中では部品の角度や位置によっては正しい部品であると判断できなくなるケースがあります。

そのような状況では、本来正常品として扱わなければならない部品を異常品として処理してしまうため、最適な生産が難しいです。このような課題を克服するため、近年は3DマシンビジョンにAI技術を活用することが考えられています。

参考文献
https://www.sick.com/jp/ja/3d/w/machine-vision-index/
https://www.cognex.com/ja-jp/what-is/deep-learning/challenges-to-machine-vision

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