粉粒体定量供給装置

粉粒体定量供給装置とは

粉粒体定量供給装置とは、予め設定した体積量の粉末を分注する装置であり、自動分注装置の一種です。

粉体ディスペンサー・粉末ディスペンサーと呼ばれる場合もあります。研究室用や製薬などに用いられ、ミリグラム単位などの比較的少ない粉末を分注することに用いられることが多いです。

粉粒体定量供給装置の使用用途

粉粒体定量供給装置は、主に、化学・生物学に関連して粉末の分注が必要になる分野で使用される装置です。試験・研究、製薬業、医療、化粧品産業、化学工業、食品産業などの用途で使用されています。ミリグラム単位やマイクロリットル単位の微量粉末を正確に分注することに用いられ、主に下記のような物質が取り扱われることが多いです。

  • 医薬品原料
  • 試薬や化成品原料 (樹脂や塩など)
  • 粉乳、豆乳などの食品原料
  • 食品添加物、調味料
  • 歯科用アマルガム粉末
  • 培地用寒天やガラスビーズなど生物学・生化学実験用の資材や試薬
  • シリカゲル 
  • 獣医用粉末
  • 魚飼料

装置にもよりますが、粉末、顆粒、ビーズなど多様な粒径の物質が取り扱われることが多いと言えます。

粉粒体定量供給装置の原理

粉粒体定量供給装置は、装置に充填された粉末を吐出することで正確な分注を行う機構が一般的です。その他には、メッシュプレートを用いて設定した体積用量の粉末を手動でマイクロプレートにふるい入れる機構の装置もあります。

 1. 粉末の充填

粉末を充填する方法は装置によって異なりますが、分注ヘッドに手動で充填する仕組みや、装置に粉体吸引を行う機能があるものなどがあります。分注ヘッド方式の装置では、分注ヘッドは交換可能であり、異なる用量の複数の材料を洗浄なしで迅速に処理し、クロスコンタミネーションを防ぐことが可能です。

2. 分注吐出

分注吐出は、体積単位で行う装置と質量単位で行う装置の2種類があり、手動式は基本的に体積単位で分注を行います。例えば、手動式の仕組みには先端のくぼみに粉体試薬を充填し、プランジャーで押し出すものなどがあります。電動式のものでは1回の分注にかかる時間が3秒前後と高速であり、連続して吐出を行うことも可能です。

3. 装置の形状

装置の形状はハンドヘルド方式やベンチトップ据え置き型などがあります。電動のベンチトップ据え置き型では、マイクロチューブやバイアル、ウェルプレートのラックを利用して自動分注を行うことができる装置もあります。

4. メッシュプレート方式

メッシュプレート方式のディスペンサーでは、ウェルプレートなどをメッシュプレートの下にセットし、メッシュプレートとウェルプレートの間にスライダーを挿入した状態で粉末をメッシュプレートへ充填します。余分な粉末をスクレーパーで除去するなどの方法でメッシュプレートへ規定量の粉末を充填した後、スライダーを引き抜くことで下のウェルプレートへ分注することができる仕組みです。

粉粒体定量供給装置の種類

粉粒体定量供給装置は、様々な種類があり、用途に合わせたものを選択することが必要です。体積単位で分注する装置は、5~1000μl の粉末体積に対応していることが一般的です。質量単位で分注する装置では、ミリグラム単位の微量秤量が主流ですが、5~300mgの範囲で分注できる装置や、最大25gまで分注できる装置などがあります。

また、電動の装置と手動の装置とがありますが、電動の装置では特に大量の分注を自動化することができるものもあります。また、装置によっては周辺機器と組み合わせて材料調合や試薬前処理、キャップの開閉などを自動化することも可能です。分注容器にはマイクロチューブやバイアル、ウェルプレートを用いることができますが、装置によって異なります。装置の中には専用容器のみが使用可能であるものもあるため、注意が必要です。

粉粒体定量供給装置の中にも、粉体だけに対応しているものの他、顆粒、ビーズなど様々な固形物に対応している装置があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です