シーム溶接機

シーム溶接機とは

シーム溶接機とは、圧接による溶接技術を行うための機械です。

溶接には大きく分けて融接、圧接 ロウ付けの3種類があります。シーム溶接機は、加熱した状態の金属同士に圧力を加えて溶接する溶接機です。

シーム溶接の作業のほとんどは、シーム溶接機によって行われます。溶接技術者の技術力に大きく左右されず、精度の高い溶接をすることができる点も、特徴の一つです。

シーム溶接機の使用用途

シーム溶接機によって製造される溶接製品の代表例は、缶ジュースや缶詰など、中身の気密性が求められる製品です。同じく気密性を活かした使用用途として、燃料タンクの製造も挙げられます。

また、センサーや電子機器をまとめたケースの製作もシーム溶接機の主な使用例です。電子部品の中には、外気を遮断しなければならないものがあります。

例えば、水晶デバイス、半導体やセンサ、アクチュエータを含む電子回路がひとまとめになったMEMS (メムス) などです。気密性が求められる電子部品を覆うためのケースの製造にも、シーム溶接機を使ったシーム溶接が行われます。

自動車においては燃料タンクをはじめ、剛性を高める方法としてもシーム溶接が用いられます。例えば、前後のドアの間に設けられるセンターピラーや車台のメンバーも、シーム溶接が用いられてる部位です。接合が連続的に行われるため、スポット溶接で多くの接点を作るよりも、車体の剛性を高めることができます。

シーム溶接機の原理

シーム溶接機は、電流が流れる2枚のローラー電極同士で、接合する2つの製品を挟み込んで溶接できる構造になっています。2枚のローラー電極の接点で、接合部品を挟んで加圧したまま、電流を流して加熱することによって、接合部分が溶けて接合されます。

連続的に接合して密閉構造にできるのは、ローラーを回転させることによって、連続的に接合されるからです。シーム溶接を行う部品には、ローラーが挟み込むための取り代も必要です。

また、機械は自動運転するために、あらかじめ溶接の速度や電流の大きさなどの設定を行います。シーム溶接では、異なる母材同士の溶接も可能です。ただしその際には、適した接合条件を設定しなければなりません。

シーム溶接機は、電気抵抗による発熱を利用するという点では、スポット溶接同様に、抵抗溶接という接合方法に分類されます。またシーム溶接ではその他の溶接方法と比べると、かなり薄い板材であっても接合することが可能です。

シーム溶接機のその他情報

1. シーム溶接の長所

シーム溶接の長所は大きく分けて以下の3つがあります。

熟練しなくても作業ができる
前述のとおりシーム溶接では、シーム溶接機に条件を設定して作業を行います。よって適切な接合条件さえ設定できれば、作業者の熟練度によらず安定した接合が行えます。

加工前の精度は低くても問題ない
シーム溶接は接合するためのフランジ部分が必要ですが、フランジ部分に高い精度は不要です。フランジ部分は溶接時にローラーに挟み込まれて加圧されるので、接合前に精度が悪くても、密着した接合として仕上げることができます。

安全性が確保された作業ができる
スポット溶接などで生じる閃光や火花の飛び散り (ヒューム:金属が高温により蒸気のような細かい粒子になったもの) も発生しないので、比較的安全な作業として行えます。

2. シーム溶接の短所

シーム溶接を行うためには、シーム溶接機が必要です。シーム溶接機は比較的大きな機械であり、導入するにはある程度の初期投資が求められます。

接合する部品は電気抵抗の熱によって溶かすため、設備を導入する際には、多くの電力が必要となることも考慮する必要があります。

参考文献
https://sanki-seam.com/about/
https://tokusyuko-kakou.com/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/77/8/77_718/_pdf

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