ネジポンプ

ネジポンプとは

ネジポンプ

ネジポンプとは、ネジ状の回転体と筒状固定体を組み合わせて構成されるポンプです。

回転ポンプの1種で、ネジ型の回転体が回転することによって流体をポンプの吐出口に向かって移送します。別名はスクリューポンプです。

ネジの数の違いによって、1軸ネジポンプ、2軸ネジポンプ、3軸ネジポンプがあります。

ネジポンプの使用用途

ネジポンプはその構造上の特性から、多様な用途に使用されます。特に粘度が高い液体や緩やかに固形物を含む液体を移送することができるため、産業界で広く使用されています。以下はネジポンプの主な使用用途です。

1. 食品産業

ペースト状の液体、ジャム、ソース、シロップなど、食品産業で使用されるさまざまな液体を移送するために使用されます。ネジポンプは液体を傷つけずに移送可能で、製品品質を保持することができます。

2. 化学工業

酸やアルカリ溶液、石油製品など、多様な化学物質を扱うために使用されます。粘度が高い液体を移送することができるため、高粘度の化学物質を扱えます。

3. 石油化学工業

石油化学工業では、粘度の高い重油などを移送するためにネジポンプが使用されます。また、高温の液体を扱う際にも有用です。ネジポンプは摩耗が少ないため、長期間の運転が可能です。

4. 農業分野

農業分野では、畜産業や酪農業などで使用されます。牛乳や液体肥料など、粘度の高い液体を移送するために使用されます。また、ネジポンプは自己吸引性が高く、搾乳機などで使用されることもあります。

5. 建設業

建設現場では、コンクリートポンプやセメントポンプなどで使用されます。ネジポンプは、緩やかに固形物を含む液体を移送することができるため、建設現場での用途が非常に多岐にわたります。

ネジポンプの原理

ネジポンプは、固定された筒状部品 (ステーター) と、回転する螺旋状部品 (ローター) で構成されます。ローターが回転することによってステーター内部の液体が吸い上げられ、螺旋状の形状に従って吐出口へと移送されます。

液体をポンプ内部に吸い上げるための自己吸引力が非常に高く、ポンプが液体上方に位置していなくても吸い上げることが可能です。また、回転部品が液体に触れることがないため摩耗が少なく、高粘度の液体を扱えます。

螺旋状に刻まれたローターとステーターの間には、液体が通るためのクリアランスがあります。このクリアランスは一般的には非常に狭く、数百分の1ミリ程度です。このクリアランスによってローターとステーターの螺旋状の形状が作り出す吸い上げ力が発生し、液体を吸い上げることができます。

ネジポンプの種類

ネジポンプには、いくつかの種類が存在します。以下はネジポンプの種類一例です。

1. 一軸ネジポンプ

単一のスクリュー (ローター) とステーターから構成されたネジポンプです。液体を吸い上げるスクリューには螺旋状の溝が刻まれており、回転によって液体を移送します。一軸ネジポンプは、主に低圧の流体移送に使用されます。

2. 二軸ネジポンプ

二軸ネジポンプは、2つのスクリューが向かい合わせに配置されたポンプです。各スクリューは回転しながら反対方向に進み、液体をポンプの吐出口に向かって移送します。高粘度の液体を移送するために使用されます。

3. 三軸ネジポンプ

三軸ネジポンプは、3つのスクリューが同心円状に配置されてたポンプです。各スクリューの回転によってポンプの中心に向かって移送されます。三軸ネジポンプは、高粘度の液体を扱うために使用され、一般的には石油化学工業分野で使用されます。

4. バキュームネジポンプ

バキュームネジポンプは複数のスクリューを使用し、液体を吸い上げるための真空圧力を発生させるポンプです。液体の自己吸引や真空処理に使用されます。

ネジポンプの選び方

ネジポンプを選ぶ際には、対象液体の粘度、密度、粒度、腐食性などの特性を把握することが重要です。液体の特性に応じて、スクリューの形状や材質、ポンプの回転数などを調整する必要があります。

また、使用目的に合わせたタイプを選択することが重要です。食品産業で使用する場合は、ステンレス鋼製のポンプを選択することが多いです。

長期間運転する際は、メーカーの信頼性も欠かせないポイントになります。メーカーの評判や品質、サポート体制などを調べ、信頼性の高いメーカーから購入することが望ましいです。

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