マイクロCT

マイクロCTとは

マイクロCT (英:Micro-computed tomography) とは、非破壊的に三次元内部画像を生成する技術です。

一般的なCTは医療などにおいて使用されます。人間などの大きな対象物内部を観察するために使用することが多いです。マイクロCTは微小な対象物、特に固体試料や生体試料などの微細な構造を高解像度で可視化するために使用されます。

マイクロCTは試料を破壊せずに内部構造を調査できる点が大きな特徴です。材料の品質評価や生体試料の研究に非常に有用な点が特徴です。また、比較的短時間でデータを収集し、迅速な画像を構築することができます。

マイクロCTの使用用途

マイクロCTはさまざまな用途で使用されます。以下はマイクロCTに使用用途一例です。

1. 材料研究

マイクロCTは材料の内部構造を非常に高解像度で調査できるため、材料研究に広く利用されます。金属合金の結晶構造や材料中の微小な欠陥などを検知することが可能です。また、繊維強化プラスチックなどの複合材内繊維分布や配向性を調査することも可能であり、材料の性能向上に寄与します。

2. 生体医学

マイクロCTは生体試料の非侵襲的な解剖学的研究に使用されます。一例としては、骨の内部構造や骨密度または骨代謝の研究など、骨科学において広く利用されます。動物実験における脳や心臓の詳細を調査し、疾患の研究に役立てる場合も多いです。

3. 資料保存

文化遺産や芸術品の保存において、マイクロCTは非破壊的な解析のために重要です。貴重なアート作品や歴史的なオブジェクトを保護するために使用されます。絵画や彫刻の詳細な内部構造を調査し、複製や修復を支援します。

4. 虫学

昆虫学の研究において、マイクロCTは非常に有用です。昆虫の外骨格や内部器官を調査するために使用されます。これにより、虫種の同定や分類または生態系の研究に寄与します。

マイクロCTの原理

マイクロCTは高エネルギーのX線管からからX線ビームを発生させます。試料は360度回転する回転台の上に取り付けられ、X線ビームの前に配置されます。その後、X線源から発せられたX線ビームが試料を透過し、X線透過率を検出器によって測定される仕組みです。

試料内のさまざまな部分からX線ビームが検出器に到達すると、透過率の違いによってそれぞれX線ビームの減衰が異なります。試料は回転台の上に配置されているため、360度回転することが可能です。したがって、X線ビームをさまざまな角度から試料へ照射し、各角度での透過率データを収集します。

各角度でのX線透過率データがコンピューターに送信され、保存されます。コンピューターのソフトウェアによって、収集された透過率データから試料内部構造を再構築することが可能です。これにより、試料の内部構造が三次元データとして可視化され、解析や観察が可能になります。

マイクロCTの選び方

マイクロCTを選ぶ際は考慮すべき重要な要因がいくつか存在します。以下はマイクロCTの選定要素一例です。

1. 時間分解能

時間分解能はマイクロCTが1つのサンプルをスキャンし、画像データを取得するのにかかる時間です。特に高速なデータ取得が必要な用途では重要です。

高い時間分解能を持つ製品は、高速データ取得が可能です。短い時間間隔で連続した画像を生成できます。一方、低い時間分解能の製品はスキャンに時間が掛かるため、動的な試料の観察には適していません。

2. 空間分解能

空間分解能はマイクロCT画像において個々のピクセルが物理的にどれだけのサイズを表現できるかを示す指標です。高い空間分解能の製品は微細な構造や詳細な特徴を解析するのに重要です。X線源と検出器の性能に依存するため、高エネルギーX線源や高性能検出器を使用することで、高い空間分解能が実現できます。

3. サンプル搭載重量

サンプル搭載重量はマイクロCTシステムが処理できるサンプルの最大重量です。サンプルのサイズや形状、密度に応じて選定する必要があります。大きなサンプルをスキャンする必要がある場合や、密度が高い金属試料をスキャンする場合には、サンプル搭載重量の大きい製品が必要です。

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