ダクトエアコン

ダクトエアコンとは

ダクトエアコンとは、吸込口および吹出口が、本体と別に設けられているタイプのエアコンです。

主に店舗や商業施設、ビルなどの空調に使用されています。一般家庭向けなどのルームエアコンは、本体に吸込口および吹出口が設けられています。

これに対して、ダクトエアコンは空調をコントロールする本体を各室内もしくは一括して制御するエリアに設け、吹出口を各室、吸込口を各室や屋外に設けた構成です。吸込口から取り入れた空気を本体で温度調整し、ダクトを通じて吹出口に運び、吹出して空調をします。

ダクトエアコンの使用用途

ダクトエアコンは、店舗や商業施設、ビルなどさまざまな施設の空調に使用されています。本体と吸込口および吹出口が別々に設置できるため、見た目がスッキリすることや設計の自由度が高いことが特徴です。

ある程度の数の室内温度を一括制御したり、各室を個別で制御したりなど、様々なシステムの構築が可能です。室内のインテリアデザインを重視する店舗やオフィスでは、天井に本体を設置し、ダクト配管で複数の吹出口を設置しています。これにより、広い空間や複雑な形状の空間でも均一な温度分布を実現可能です。

病院や学校では、空気清浄機や換気機器と連動させて快適で清潔な空気環境を提供し、ホテルやマンションでは、天井内に本体を埋め込むことで、静音性や省スペース性を高めています。

ダクトエアコンの原理

ダクトエアコンの室外機は、冷却材である冷媒を圧縮および膨張させています。冷媒が液体と気体の状態を繰り返すのは、通常の家庭用エアコンと同様です。

室内機は本体に液体または気体の冷媒を送り、本体内にある熱交換器 (エバポレータ) を冷媒が通過する際に空気を温度調整し、温度調整された空気がダクトを通じて吹出口から供給されます。一方、吸込口からは室内あるいは屋外の空気を取り込み、ダクトを通じて空気を本体に供給しています。

ダクトエアコンの種類

ダクトエアコンは、主に「ビルトインエアコン」と「フリービルトイン」の2種類に分けられます。

1. ビルトインエアコン

ビルトインエアコンは、天井埋込型のスプリットエアコンです。本体は天井内に埋め込み、吹出口と吸込口を別々に設置するタイプです。吹出口と本体および吸込口と本体はダクト配管で接続されています。本体に吸込口が設置されている場合もあります。

ビルトインエアコンの特徴は、レイアウトの自由度が高いことです。ダクト配管で吹出口と吸込口を本体とつないでおり、吹出口と吸込口が別々に設置されるため、これらの位置や数を自由に決められます。また、本体から離れた場所にも風を届ける性能にも優れています。

そのため、ビルトインエアコンは、広い空間や複雑な形状の空間に好適です。また、天井面をすっきりさせたい場合や、温度ムラをなくしたい場合にもおすすめできます。

2. フリービルトイン

フリービルトインも、天井埋込型のスプリットエアコンです。吹出口と吸込口が一体化されている点が、ビルトインエアコンと大きく異なります。一体化された吹出口と吸込口は、ダクト配管で本体から離れた場所に設置されています。

フリービルトインの特徴は、吹出口と吸込口が一体化しているので設置場所の制約が少ないことです。ダクト配管により、本体から最大10mまで離れた場所に吹出口と吸込口を設置できます。また、本体の高さを低くできるのも特徴の1つです。そのため、フリービルトインは、天井内に空間がない場所や、天井面を隠したい場所に適しています。

ダクトエアコンのその他情報

家庭用のダクトエアコン

ダクトエアコンは主に業務用として販売されていますが、家庭用として購入するケースもあります。新築の家屋に設置するあるいはリノベーションの際に設置するのが一般的です。

業務用ダクトエアコンはサイズが大きいため、一般家屋に設置する際には「天井の裏に業務用エアコンを設置できるスペースが確保できるかどうか」の確認が最も重要です。また、設置後の天井の圧迫感なども考慮する必要があります。業務用エアコンを使用する場合は、従量電灯ではなく、低圧電力の契約が必要です。

近年では、このような需要に応じて複数のメーカーから家庭用のダクトエアコンも販売されています。

参考文献
https://www.ac.daikin.co.jp/va/control

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