グアニジン

グアニジンとは

グアニジンの基本情報

図1. グアニジンの基本情報

グアニジン (英: Guanidine) とは、分子式CH5N3で表される有機化合物です。

別名にはイミド炭酸ジアミドの名称が有り、CAS登録番号は113-00-8です。分子量59.07、融点50℃、沸点160℃ (分解) であり、常温では無色の結晶状粉末で存在します。強い塩基性を持ち、酸解離定数pKa12.5です。水に容易に溶解し、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミドにも溶解します。

キノコやミミズなど自然界にも存在する化学物質であり、タンパク質の代謝によって生成するため、ヒトの尿中にも検出されます。空気中では二酸化炭素を吸収してしまい性質が変わってしまうため密栓して貯蔵する必要があります。

グアニジンの使用用途

グアニジンの塩

図2. グアニジンの塩

グアニジンは、プラスチックや爆薬の原料として用いられている物質です。

また、水素結合を作りやすい性質から、グアニジンの塩は様々な分野で活用されています。例えば、生化学分野においてはタンパク質の変性剤として塩酸塩 (塩化グアニジニウム) やチオシアン酸塩 (グアニジンチオシアン酸塩) がよく用いられます。

合成的には、硝酸グアニジンは火薬の原料として、塩酸グアニジンは医薬品や染料の合成原料として用いられます。また、リン酸グアニジンは紙、木材に対する優れた防炎剤として使用される物質です。難燃性も高い上、吸湿を防ぎ、鉄の腐食を防止する効果をもたらすとされます。

近年では、グアニジンを化石燃料に代わる燃料とする研究も進められています。また、グアニジン及びグアニジノ基は強塩基性を示すため、グアニジンの誘導体は、有機合成において強塩基として用いられる物質が多く存在します。その他、写真材料、消毒剤等を合成するための原料など様々な分野での用途があります。

グアニジンの性質

1. グアニジンの化学的性質

グアニジンの共鳴構造

図3. グアニジンの共鳴構造

グアニジンは、共鳴により共役酸の正電荷が3つの窒素上に非局在化して安定化されており、強い塩基性を示します。このため、生理的条件においては、プロトン化された+1価の陽イオン (グアニジニウムイオン) として存在します。

また、潮解性を有し、空気中では二酸化炭素を吸収しやすい物質です。160度に加熱すると、アンモニアを放出しメラミン(C3H6N6)に変化します。

2. グアニジンの誘導体

グアニジノ基を含む化合物としてアミノ酸の一種であるアルギニンがあります。アルギニンは、タンパク質内でDNAとの結合など重要な役割を負っていることが知られている物質です。

また、天然物アルカロイドでは、アルギニンから生合成されたグアニジノ基を含む化合物が知られており、代表的なものにはサキシトキシンやテトロドトキシンなど強い生理作用を持つものものも多く存在します。

その他では、グアニジンにニトロ基が置換したニトログアニジンは、爆薬の原料として知られる物質です。

グアニジンの種類

グアニジンの純物質は、主に研究開発用試薬製品として販売されています。5g、10gなどの容量で販売され、潮解性があることから冷蔵保管されることもある化合物です。

グアニジンは、グアニジンそのものよりも、塩として販売されることが一般的です。研究開発用試薬製品や、工業用薬品などの製品があります。研究開発用試薬製品として入手可能なものは、グアニジン塩酸塩、グアニジン硝酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジンりん酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンスルファミン酸塩、グアニジン臭化水素酸塩などです。

塩酸塩やチオシアン酸塩など生化学用途のある化合物には、分子生物学用/生化学用などのグレードが用意されていることが多いため、自分の用途にあった製品グレードを選択することが必要です。容量の種類は、25g、100g、500gなどが一般的に存在します。

工業用薬品としても同様にグアニジン塩酸塩、グアニジン硝酸塩、グアニジンりん酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンスルファミン酸塩、などが入手可能です。こちらについては、60%塩酸塩水溶液などの製品も用意されていることがあります。有機合成原料、繊維処理剤原料、バイオプロセス原料、臨床検査薬用原料などで利用されている製品です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/113-00-8.html

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