CFRPリサイクル

CFRPリサイクルとは

CFRPリサイクルとは、使用が終わったCFRP (英: Carbon Fiber Reinforced Plastics) でできた製品や部品を回収して、炭素繊維とブラスチックに分離し再利用することです。

軽量で強度に優れたCFRPは金属と比較して、同じ部品や構造体を作る場合に、より軽量に仕上げることができます。軽量なCFRPを航空機や自動車等で採用することが燃料の節約につながり、運用コストの削減と二酸化炭素の排出量の削減効果が期待できます。そのため、CFRPの使用量は急速に増えてきています。

その一方で、CFRPは生産時に多くのエネルギーを消費する材料であることと、リサイクルが難しい材料であることが問題視されてきました。そこで、リサイクルの技術開発が進められてきました。使い終わったCFRPを回収してリサイクルすることで、より一層に消費エネルギーの削減と二酸化炭素の排出量の削減の効果が大きくなります。

CFRPリサイクルの使用用途

CFRPは炭素繊維とプラスチックの複合材料です。プラスチックの軽くて加工しやすい性質と、炭素繊維の持つ強靭さを併せ持った優れた素材ですが、プラスチックの中に炭素繊維が強固に包み込まれており、それぞれを分離抽出して再利用することが難しい素材です。

従来は、使用が終わったCFRP製の部材は地面に埋められ廃棄処理されてきましたが、世界的規模での環境意識の高まりにより、使用の終わったCFRPを回収して炭素繊維とプラスチックに分離して再利用する必要性が高まってきました。具体的には、建築用資材、家具、スポーツ用品、船舶、自動車部品など、CFRP製品の中でも比較的安価な用途に再利用されています。

また、CFRPのもう1つの主材料であるプラスチックも回収されて、燃料や材料として再利用されています。炭素繊維とプラスチックを分離して回収するのではなく、CFRPの細かな破片に分解して、短繊維状の炭素繊維が使われるCFRP製品の原料として、再投入する方法も考案されています。

CFRPリサイクルの原理

CFRPに使用されている炭素繊維は、石油を原料として中間体であるポリアクリルニトリル (英: polyacrylonitrile, PAN) などを経て、2,000℃を超える高温過程を経て製造されています。製造には多量のエネルギーを必要としますが、回収した炭素繊維やプラスチックを燃料として燃焼させたときに得られる熱量はわずかです。従って、CFRPの有効なリサイクル方法は、プラスチックから炭素繊維を分離してCFRPの材料として再利用することと考えられています。

CFRPをリサイクルする際に重要なことは、炭素繊維をCFRPから分離し回収する工程において、炭素繊維の表面を傷つけず、余計な元素や分子が付着せず、炭素繊維の強度が下がる等の劣化現象をなるべく抑えて、効率よく炭素繊維を回収することです。炭素繊維の劣化が少ないほどコストを抑えて利益を多く出せるようになります。

CFRPリサイクルの種類

使用済みのCFRPから炭素繊維を分離する方法には、熱分解法、液化法、電界酸化法など様々な方法があり、現在も研究・開発が続けられています。

1. 熱分解法

熱分解法はCFRPを加熱してプラスチックを溶かし、炭素繊維を分離する方法で、現在最も多く研究されている方法です。CFRPをどのような雰囲気中でどのように加熱するかによって、プラスチックが溶けだす温度、炭素繊維の奥深く浸透したプラスチックの排除、炭素繊維表面の不要な付着物の量などが変化することが知られており、様々な加熱条件が研究されています。

2. 液化法

液化法は溶媒中の特異な反応場を利用して、炭素繊維を覆う、プラスチックの高分子の特定な結合を開裂させて低分子化させ、即ち液化して炭素繊維から落として、炭素繊維を回収する方法です。この方法も、どのような反応場を作るかによって、回収した炭素繊維の引張強度の低下の度合いに違いがあり、最適な条件を導き出す研究が進められています。

3. 電界酸化法

電界酸化法では食塩水中に浸した炭素繊維をアノード (電極) として、電圧を加えることで、電気分解で発生した塩素がエポキシ樹脂の分解を促進して炭素繊維が回収できる方法です。この方法では、使用する電力の削減と、回収した炭素繊維の物性向上を目指して研究が続けられています。

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