固体コンデンサ

固体コンデンサとは

固体コンデンサ

固体コンデンサとは、コンデンサの一種で、誘電体と接触させた電解質に固体を用いた素子です。

従来のコンデンサは電解液に液体 (湿式) もしくはペースト状 (乾式) のものを用いており、コスト面で優れています。しかし、電解液のドライアップ現象や液漏れによる性能劣化、温度変化への脆弱性が課題でした。

これに対して、固体コンデンサは電解質に固体を用いることにより、ドライアップ現象や液漏れを防止し、温度変化や応答性の改善を実現しています。

固体コンデンサの使用用途

固体コンデンサはコンピューターの中でも特に高温で動作し、信頼性や耐電圧性が求められるCPUの周辺に用いられています。大きく分けて無極性コンデンサと有極性コンデンサがあり、前者はセラミックやプラスティックフィルムを用いたもの、後者は導電性高分子や二酸化マンガンを用いたものが知られています。

近年の小型化、高集積化の流れにより、小型かつ大容量が実現可能な有機高分子を用いたものが着目され、開発が進められている状況です。

固体コンデンサの原理

固体コンデンサは陰極に電解液を使用せず、固体の素材を使用しています。固体の素材には導電性高分子等、導電性が高いものを使用することで電荷を溜めたり、放出したりすることが可能です。

コンデンサは金属板で誘電体を挟んだ構造です。誘電体は絶縁体を使用します。この構造からなるコンデンサは、電荷を金属板に溜めることが可能です。電解コンデンサは陰極側の金属板の代わりに電解液を使用しているため、コンデンサの内部に液体を持つ構造をしています。

なお、コンデンサの静電容量は電極の表面積に比例し、電極間の距離に反比例する性質を持ちます。電極の表面積に多孔質の孔を持たせる加工を行い、静電容量を上げている固体コンデンサもあります。

固体コンデンサの特徴

固体コンデンサは電極及び誘電体、電解質から構成されており、求められる容量に応じて積層して使用されます。

1. 無極性の固体コンデンサ

無極性の固体コンデンサは電極に金属、誘電体として酸化チタンやフィルムを使用し、電解質は不要です。極性が存在せず正負いずれの電圧も印加可能なため、交流回路にも使用可能であることが特徴です。

特にプラスティックフィルムを用いたものは高価ですが、耐熱性等にも大変優れているため、携帯電話等、耐熱性の高い製品への利用に向いています。

2. 有極性の固体コンデンサ

有極性の固体コンデンサは極性があるため、電圧の向きに制限が生じます。電極には金属、グラファイト等が用いられ、誘電体に金属酸化物、電解質に導電性高分子、二酸化マンガンが用いられます。

有極性の固体コンデンサは無極性のものと比較して定格電圧が低いといったデメリットはあるものの、耐熱性は同様に優れていること、またコンデンサ自体の電気伝導率が高く低発熱であること、大容量の設計が可能であることから、特に導電性高分子を用いたものが主流となりつつあります。

固体コンデンサのその他情報

アルミニウム固体電解コンデンサ

陽極の金属板にアルミニウムを使用しており、電極版の間に使用する誘電体にアルミニウム酸化被膜を使用した固体コンデンサもあります。電極に電圧を印加することで、陽極の表面にアルミニウム酸化被膜を生成できる点がメリットです。酸化被膜生成時には電圧を加えた方向に電流が流れますが、生成と共に流れる電流は減少していきます。

このときに流れる電流を漏れ電流と呼びます。この電流が生じているため、酸化被膜は完全な絶縁体ではありません。しかし、特徴として酸化被膜が作られる電圧以下では電流をほとんど通さず、逆方向に印加した場合も一定の電圧までは電流を流さないのが特徴です。

完全な絶縁体ではありませんが、コンデンサ内の誘電体としては十分に機能します。

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