ラックギアとは
ピニオンギアと組合わせて使用され、入力軸に取り付けたピニオンギアと噛み合わせることで回転運動を直動運動に変えることができます。歯の形状はピニオンギアの歯の形状と同一形状になり、平歯だけでなく、はすば歯車の形状をしたヘリカルラックもあります。
同じような機構としてはボールねじがありますが、応答性や位置決め精度を考慮して設計・使用することで、低コストでオーバースペックにならない運用をすることができます。
ラックギアの使用用途
ラックギアは、回転運動を直動運動に変えるためにピニオンギアとの組合せで使用されます。
回転運動を直動運動に変えることができるため、モータなどの回転を直動運動に変えて送り装置などに用いられます。
また、逆にラックギアの直動運動をピニオンギアの回転運動に変えることもできるため、自動車の前後輪の駆動を伝えるために、シャフトの両端にラックギアを取り付けて、離れた位置にある軸に動力を伝えるために用いることもできます。
ラックギアの原理
ラックギアは、歯車の歯を直線状に歯が並べたものですので無限大の大きさの直径を持つ歯車ともいうことができます。そのため、減速比という概念が無く、基本的に減速比は1です。また、理論的には歯の数に制限がなく、ラックの長さやモジュールなどによって決められます。しかし、長さが長くなるほど曲がりや変形を小さくすることが困難になります。曲がりの大きさは精度等級で定められてます。
使用するラックギアが長くなればなるほど、1本での運用は困難になります。その際は、何本かのラックギアをつなぎ合わせて使用することになりますが、つなぎ目でのピニオンギアとの嚙み合わせがスムーズに行われるかを注意する必要があります。また、固定時にはボルトの穴などをラックギアに追加工することになりますが、追加工する位置はラックギアの端になることが多く、つなぎ合わせる箇所の近くを加工することになるため、加工時の応力によるラックギアの変形にも注意が必要です。
参考文献
https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/pdf/gearabc_c.pdf
https://www.khkgears.co.jp/catalogs/pdf/racks.pdf