温度ヒューズ

温度ヒューズとは温度ヒューズ

温度ヒューズとは、電子機器の内部故障やエラーなどによって発生する電子機器の異常発熱を検知し、電子回路の電流を遮断するために自らが溶断する過熱保護部品です。

温度ヒューズ自体の自己発熱はほとんどなく、周囲の温度上昇によって温度ヒューズ自らが溶断し、電流を遮断する仕組みです。温度異常を検知すると速やかに回路電流を遮断します。

それによって、家庭用機器または自動車の発煙や火災を未然防止することが可能です。なお、温度ヒューズは一度異常発熱を検知し温度ヒューズが遮断すると、周囲温度が低下してもヒューズの導通は自動復帰しません。

温度ヒューズの使用用途

温度ヒューズは、溶断により一度検知すると自動的に復帰はしないため、測定対象物が異常発熱などで高温となった場合の危険状態を防ぐために用いられます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 大型家電
    エアコン、冷蔵庫、洗濯機、ファンヒーター、温水洗浄便座、ガス給湯器、電気こたつなど
  • 小型家電
    コーヒーメーカー、電気ポット、ホームベーカリー、炊飯器、ホットプレート、電気コンロ、アイロン、ヘアドライヤー、加湿器など
  • 事務機器
    コピー機、プリンター、FAXなど
  • 自動車
    カーエアコン、シートヒータ、エンジンクリーニングなど

自動車分野では、回路異常が発生して高温となる可能性があるトランスやモータなどのコイル表面、電源回路における突入電流防止用の抵抗に対して、発熱を保護する目的で使用されています。

ただし、温度ヒューズは一度溶断すると自動復帰しないため、温度ヒューズによる溶断が起きた場合は、電子機器の再使用ができなくなる点に注意が必要です。

温度ヒューズの原理

温度ヒューズは、感温素子に可溶合金を用いた可溶合金タイプとペレットを用いた感温タイプの2種類あります。

1. 可溶合金タイプ

可溶合金タイプは、感温素子にスズ、ビスマスなどの低融点合金を用いており、 ヒューズ周囲温度が低融点合金の融点に達すると、低融点合金が固体から液体に変化します。液体になった可溶合金は、2つの球体に分かれるため、ヒューズの導通経路を遮断します。

2. 感温ペレットタイプ

感温ペレットタイプは、 感温素子に感温ペレットを用いており、 ヒューズ周囲温度が上昇すると、感温ペレットが溶融し、 液状化する事で接点電極とリード線が強制的に距離を確保され、ヒューズの導通経路を遮断します。

 

可溶合金タイプの温度ヒューズは、定格電流が0.5Aから数Aの物が多く、感温ペレットタイプの温度ヒューズは、定格電流が数Aから10Aの物が多いです。

温度ヒューズのその他情報

1. 公称動作温度

公称動作温度とは、安全規格で定義された方法で測定したときの温度ヒューズが溶断する温度のことです。日本国内規格の電気用品安全法では、プラスマイナス7℃の誤差が許容されてます。

IEC規格に準じた国際規格では、 誤差はプラス0℃、マイナス10℃の範囲で定められています。 温度ヒューズ本体に公称動作温度が表記されていることが多いです。

2. 保持温度

温度ヒューズに定格電流を流し続けた状態で、最低168時間は温度ヒューズが溶断せずに耐えられる周囲温度のことです。使用する機器の電流や寿命に合わせて、温度ヒューズを選定する必要があります。

3. 使用限界温度

温度ヒューズが溶断したあと、再度温度ヒューズが導通しない最高温度のことです。周囲温度が使用限界温度以上の状態で温度ヒューズを使用し続けた場合、温度ヒューズが破壊を起こす可能性があります。

4. 形状

温度ヒューズには、アキシャル部品とラジアル部品があります。アキシャル部品は部品の両端からリードが出ているタイプで、 リード両端をテープで留めた形で供給されます。ラジアル部品は部品の一方向からリードが出ているタイプで、 一方向にでたリードをテープで留めた形で供給されます。

参考文献
https://detail-infomation.com/thermal-fuse/

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