DIAC

DIACとは

DIAC (英: Diode for Alternating Current) とは、交流回路で使用されるダイオードです。

トリガダイオードとも呼ばれ、2つのダイオードを並列逆方向に接続した素子です。順方向電圧のみではなく、本素子は双方向で特定電圧以上の場合に電流を流通することができます。

DIACは、交流電源においてスイッチング動作を制御するのに有利です。特定の電圧レベルを検出し、それを基準にしてトライアックなどのデバイスをトリガする際に使用されます。これにより、照明の調光や加熱制御などにおいて使用が可能です。

二端子デバイスであり、比較的シンプルな回路で使用できます。他の制御デバイスと組み合わせて使用する際、回路が複雑になりにくいため、設計と実装が簡素化できる点が特徴です。また、半導体製品であるDIACは機械的なスイッチングデバイスと比較して寿命の面で優れています。

DIACの使用用途

スイッチング用途などに使用される半導体製品であり、以下はDIACの一般的な使用用途です。

1. 照明調光

調光装置は、照明の明るさを調整することを目的に使用されます。DIACはこの調光機能を制御する重要な要素の1つです。

一般的な調光回路では、DIACがAC電源からのサイクルに基づいてトリガされます。これにより、スクリーン電流制御素子 (SCR) やトライアックなどと組み合わせて、照明の明るさを調整する仕組みです。DIACによるトリガで、照明を滑らかに調整する場合に有利となります。

2. ヒーター

DIACは、ヒーターや加熱要素の制御に使用されます。暖房システムやオーブンの温度制御回路で利用され、DIACを介してヒーターをトリガすることで一定温度を維持する際に有利です。このような用途では、DIACの特性を利用して正確な温度制御が可能です。

3. 電動機制御

交流電動機の制御にDIACが使用されます。特に回転方向の切り替えや、電動機の速度制御に使用されることが多いです。トライアックやSCRと共に使用され、モーターに流れる電流を適切にトリガして制御します。

DIACの原理

DIACは二端子の半導体製品であり、特定の電圧範囲で交流信号を導通させる特性を持つことが特徴です。PNPnと呼ばれる特殊な半導体構造を持っています。この構造により、特定の電圧範囲でDIACが導通状態となることが可能です。DIACは、閾値電圧を超えると導通状態に入ります。閾値電圧を以上となるとDIAC内部のPNPn構造が活性化し、電流を流せるようになります。

また、本素子は双方向性デバイスであり、通常の方向 (P→N) と逆方向 (N→P) の両方向に導通し、電流を流せます。これはAC電源は正負のサイクルを持っており、DIACが両方向で動作できるように開発されたデバイスのためです。DIACが導通状態に入ると電流が流れ続け、入力電圧が低下するまで維持されます。

DIACの選び方

DIACを選ぶ際に、考慮すべき要因がいくつか存在します。

1. ブレイクオーバー電圧

ブレイクオーバー電圧は、DIACが導通状態に入るために必要な閾値電圧です。DIACを使用する用途において希望のブレイクオーバー電圧を考慮し、それに合ったDIACを選ぶ必要があります。ブレイクオーバー電圧はデバイスの仕様書などから確認できます。

2. 定格電流

DIACの定格電流は、DIACが正常に動作するために許容される最大電流です。DIACが回路で必要な最大電流を許容できる必要があります。通常は、定格電流もデバイスの仕様書などで確認できます。

3. 立ち上がり時間

用途によっては、DIACが導通状態に移行する速度 (立ち上がり時間) が重要な場合があります。特に高速スイッチング装置では、DIACの立ち上がり時間が短いことが求められることも多いです。仕様書やデータシートからこの情報を取得し、用途に合ったDIACを選択します。

4. 漏れ電流

漏れ電流は閾値電圧に達しない際にDIACを漏れて流れる電流値です。漏れ電流が少ないほど、優秀な特性のDIACであると言えます。用途に応じてこれらの特性を確認し、適切なDIACを選択します。

5. パッケージタイプ

DIACはさまざまなパッケージタイプで提供されます。物理的な制約に合わせて、適切なパッケージタイプを選択することが重要です。一般的なパッケージにはDO-35、TO-92、TO-220などがあります。

参考文献
https://kobaweb.ei.st.gunma-u.ac.jp/lecture/20190618_matsuda_1.pdf
https://jeea.or.jp/course/contents/12119/

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