計測アンプとは
計測アンプとは、ひずみゲージや圧力トランスデューサなど各種センサ類からの非常に微弱な信号を検出し、高精度で増幅することを主な目的としたアンプのことです。
製造にかかわる装置や設備において、圧力や温度などを測定をする目的で、各種センサ信号を増幅するために最適化されたアンプ回路を持っていることから、計装アンプとも呼ばれています。そのほか、インスツルメンテーションアンプ (Instrumentation amplifier) も呼び名の1つです。
一般的なオペアンプと計測アンプは、利得の設定も異なっています。オペアンプと比べると計測アンプは、あらかじめ設定した特定の狭い範囲の中で利得を選択する分、非常に精度が高いのが特徴です。
計測アンプの使用用途
計測アンプは、ひずみゲージなどの各種センサからの信号を検出し、確実に増幅するための目的で用いられています。計測アンプの特徴を活用し、雑音が発生するのを低く抑えて各種センサに検出される微弱な信号を増幅することで、センサのパラメータ動作を最適化するといった産業用計測アプリケーションシステム用途に広く使われています。
また、その他の用途としてモーターの制御や車載機器、データ収集装置なども挙げられます。
計測アンプの原理
計測アンプは差動形式を入力部に有し、出力部をシングルエンドのアンプ出力とすることで、入力ノイズを抑制しています。特にCMRと呼ばれるコモンモード除去比を大きく確保する目的に徹したアンプ動作を行うのが特徴です。
オペアンプと比べると、特定の機能に特化して設計されているアンプにつき専用の目的に対して用いるため、オペアンプと構造的には同じでも運用方法などが異なります。例えば、高精度の計測を行うために、バイアス電流の入力を低く抑える必要があり、ナノアンペアオーダーと小さい値であることが一般的です。
差動入力は、入力端子2つで構成され、平衡状態の保持によって数百MΩを超える高い入力インピーダンスである反面、一般的に出力インピーダンスは数mΩとかなり低く設定されています。また、運用方法においても、あらかじめ設定した狭い範囲の中で通常、抵抗や端子を用いて利得を選択するため、オペアンプと比べて使用用途範囲を狭い範囲に限定し柔軟性に欠けるものの、バラつきが抑制された非常に高い精度を実現することが可能です。
計測アンプのその他情報
1. オペアンプと計測アンプの違い
計測アンプはその回路面での構成上オペアンプを用いていますが、その回路としての扱いはオペアンプとは大きく異なります。オペアンプは、積分回路やボルテージフォロアなど実にさまざまなアナログ回路に使用されており、その最大の特徴は出力から入力への外部フィードバックループにあります。
このフィードバックループがオペアンプの各種アプリケーションへの適用汎用性を高める所以の1つであり、この設計でアンプ全体の諸特性が決まります。しかしながら、計測アンプには出力から入力へのこの外部フィードバックループはありません。計測アンプは内部にオペアンプを2つないし3つ有していながらも、その回路の構成上、差動増幅とコモンモード除去という役割に徹したアンプです。
その結果として、通常のオペアンプとは異なり、計測アンプはひずみゲージなどのセンサ類からの微弱な信号を扱うことができます。
2. センサASICへの集積
計測アンプは、ディスクリートアンプとして取り扱うメーカーも存在しますが、その多くはセンサASICに代表される圧力トランスデューサなどのホイートストンブリッジ回路と対で用いられるケースが非常に多く、圧力センサなどの制御用ASIC回路の一部として活用されています。
元来、計測アンプ自体がディスクリート部品でボード上にて構成するよりも、ICでモノリシック集積する方がアンプトランジスタ特性や抵抗のペア比を確保しやすく、計測アンプとしての特性を引き出しやすいです。
また、ASIC化することに伴い、センサの温度補正などの各種パラメータの補正用途に活用可能で、マイコンとをつなぐデジタルインターフェイスの集積とも相性がよく、小型化や高付加価値化に適しています。
参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1003/03/news124.html
https://news.mynavi.jp/article/20141113-microchip_opamp/
https://www.analog.com/jp/products/amplifiers/instrumentation-amplifiers.html#
https://news.mynavi.jp/article/20141113-microchip_opamp/