オムニホイール

オムニホイールとは

オムニホイール

オムニホイールとは、あらゆる方向への移動が可能なホイールであり、本体部分の主動回転部と本体外円上に配置されたローラーの受動回転部によって構成される車輪です。

通常、3輪1セットまたは4輪1セットで使用されます。自動車のようなステアリングなどを用いたタイヤでの車輪構成と比較すると、移動機構が簡素になるため、小型化や軽量化に向いています。

オムニホイールの使用用途

オムニホイールは、主にロボットや台車などの移動機構として使用されています。狭いスペースの移動に適しているため、工場や倉庫内で無人搬送ロボットとしての利用や病院等の室内環境を想定した車いすとして利用される場合が多いです。

無人搬送ロボットとしてのオムニホイールには、センサを搭載した人追尾機能を持つロボットもあります。作業装置を載せたまま移動できるため、台車と作業台を兼ねた使用も可能です。

オムニホイールの原理

オムニホイールは、モータの駆動力を縦方向に伝達し、横方向への回転は自己駆動力を持たないフリーの機構によって行う車輪です。旋回や全方向への平行移動は、オムニホイールの路面へのグリップ力に対して、各モータの速度制御を調節することで可能になります。

通常は、3輪1セットもしくは4輪1セットで使用されることが多いです。それぞれの特徴を以下に示します。

1. 3輪構成

4輪での車輪構成に比べ、駆動系が1つ少ないために小型化や軽量化が見込めるという利点があります。しかし、どの方向に移動する場合でも、移動量がベクトルの合力となるため、路面との相性によっては、直進性が悪くなる場合があります。

2. 4輪構成

4輪構成の場合は、前後左右方向への移動は自動車の様に通常のタイヤで移動するのと変わらない動きとなるため、高い直進性が見込めます。一方で、駆動系としては3輪構成に比べて駆動系が1つ多い状態となるため、装置全体として大きくなり、重さも増えてしまうという短所もあります。

オムニホイールの特徴

長所

  • その場での旋回や全方向への平行移動が可能
  • 最低3つあれば車輪として駆動系が構成可能で、4輪駆動に比べて移動機構が簡素になり、小型軽量化が可能
  • 動作時の振動が少ない

特に、移動ロボットにおいては、2輪ロボットは「基本的に目標に対して動く向きを変えながら常に前に向かって動く」のに対し、オムニホイールロボットは「常に目標に向かって向きを固定させた状態で平行移動する」という大きな違いがあります。

これは、オムニホイールを用いることで「移動時に向きを変えてから動く」という手順を省けることを意味し、「最短距離で素早い動きを行える」という大きなアドバンテージになります。

このように、オムニホイールは素早い移動に対して大きなアドバンテージを持つため、ゴールまでの到達時間などを競うロボットコンテスト用のロボットでは、オムニホイールを使用した移動機構を搭載しているロボットも多いです。

オムニホイールの部品構成には決まったものはなく、受動回転部に配置されるローラーの数や角度、素材などは様々なものが存在します。各オムニホイールによって得意とする環境や用途、耐荷重性などがことなるため、使用用途に合わせた選定が必要となります。

短所

オムニホイールの短所としては、「段差に弱いこと」、「屋外での使用に弱いこと」が挙げられます。オムニホイールの動作原理によるもので、どちらの条件も地面とのグリップ力を十分に発揮できないという課題が原因です。

オムニホイールのその他情報

1. オムニホイールロボットの制御方法

4輪タイプの場合、オムニホイールは機台に対して90度ごとに4つ取り付けられています。各オムニホイール一つずつにモーターが取り付けられており、独立にモーターへの指令を出すことで、機台の速度と進行方向を決定します。

例えば、X方向に機台を直進させる場合、Y方向における各オムニホイールの速度ベクトルの和が0になるように制御が必要です。

2. 制御における注意点

制御時の注意点としては、地面とのグリップが不十分だとタイヤに滑りが生じます。オムニホイールの内一つでも空転が生じると、オムニホイールの速度ベクトルの総和が想定値からズレてしまいます。フィードバック制御を取り入れる等してモータへの指令を都度修正する仕組みが必要です。

フィードバック制御とは、出力である制御量を入力値にフィードバックして出力と入力の差が0になるように入力値の修正を行う制御を指します。空転のような外乱が生じても修正を加えることができる制御になります。

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