両引きボルト

両引きボルトとは両引きボルト

両引きボルトとは、両側にネジ切された長尺の通しボルトです。

通常のボルトは片端に頭部があり、もう一方の端にはネジが切られた部分があります。しかしながら、両引きボルトは両端にネジが切られているため、両側からナットを取り付けることが可能です。

両引きボルトは両端にネジがあるため、対物距離を調整することが容易です。これにより、部品や構造物の位置や間隔を微調整することができます。また、1つのボルトで複数の部品を取り付けることが可能です。

ただし、 両引きボルトの使用には強度や設計に関する考慮が必要です。部品や構造物の荷重や応力に対して適切なサイズと強度のボルトを選択し、設計上の要件を満たすようにします。

両引きボルトの使用用途

両引きボルトは特殊な形状のボルトであり、さまざまな用途で使用されます。以下は両引きボルトの使用用途一例です。

1. 建築

柱や梁による木造軸組工法の建物は、地震や台風の災害時に柱が土台や梁から抜け落ちることがあります。これを防止するためにホールダウン金物と呼ばれる補強金物を使用することが多いです。ホールダウン金物は、柱の下部である柱脚と上部である柱頭の両方に取付けられます。

このとき、梁等の横架材の上下の柱に取付けられたホールダウン金物を横架材の上下から締込み固定するのが両引きボルトです。阪神淡路大震災において、ホールダウン金物を設置していた住宅の損壊がほとんどなかったことから、その重要性が再認識されました。その後の2000年の建築基準法により、ホールダウン金物の設置が義務化されました。

2. 配管

工業用配管の取り付けにおいて、両引きボルトが使用される場合も多いです。配管を支持する際などに両引きボルトを用いてパイプを固定します。配管の変形や振動に対しても安定性を保つ役割があります。

3. 機械装置

工業機械や機械部品の組み立てにおいて、両引きボルトは部品同士を確実に固定するために使用されます。一例としてはコンベアなどです。工場や倉庫で使用されるコンベアベルトの取り付けにおいて、ローラーやコンベアのフレームを固定する際に両引きボルトが使われます。

両引きボルトの原理

両引きボルトは、高強度の鋼や合金鋼などの材料で作られます。強度区分4.6または4.8に適合する炭素鋼を使用され、クロメートや亜鉛メッキなどの表面処理が施されることが多いです。適切な材料を選定することで、必要な強度や耐久性の確保が可能です。

両引きボルトの最大の特徴は、両端にネジが切られている点にあります。これにより、ボルトの両端にナットを取り付けることができ、部品や構造物の固定が可能です。両端のネジは、通常、逆向きに向かって切られています。

市販の両引きボルトのねじサイズは、M12およびM16が一般的です。ホールダウン金物を取付ける縦方向の両引きボルトにはM16サイズを使用します。一方、ホールダウン金物以外の接続金具で横架材を柱を挟んで横方向から連結するような場合はM12サイズが使用されます。

両引きボルトの選び方

両引きボルトを選ぶ際には、以下の要素を考慮します。

1. 材質

材質は両引きボルトの耐食性や耐摩耗性などに影響を与えます。一般的な選択肢としては、炭素鋼や合金鋼、ステンレス鋼などです。使用環境や耐久性の要求に応じて適切な材質を選びます。

炭素鋼が安価で広く使用される材質です。ただし、腐食環境などではステンレス鋼が使用されることもあります。ステンレス鋼は耐食性に優れていますが、高価な場合も多いです。

2. 長さ

両引きボルトの長さは、連結する部品や構造物の厚さに合わせて選ばれる要素です。ボルトが部品の中に埋まるか、端から突き出るかによっても選択が変わります。過剰な長さのボルトは不必要なコストや干渉を引き起こす可能性があります。

3. ねじ径

ねじ径はボルトの直径です。正確なねじ呼び径を選ぶことで、適切な強度を確保しつつ部品を固定することができます。ねじ径は部品や接合箇所の荷重に対する応答や影響を考慮して選ぶ必要があります。

参考文献
https://tokyo-chumon.com/earthquake_resistant/6613

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