監修:株式会社アイセロ
保護フィルムとは
保護フィルムは、電子機器や産業機械などの表面を保護するための透明なフィルムです。
主に対象物の表面を傷や汚れ、紫外線等から保護するために使用されます。産業用途では、自動車、エレクトロニクス、建築等の多くの産業で輸送や組み立て時に製品を損傷防止に広く用いられ、一般消費者向け市場では、スマートフォンやタブレットなどの電子機器の画面やレンズを保護するために様々な機能を付与した機能性保護フィルムが使用されています。工業用途では、半導体プロセス(例えばシリコンウエハ等のダイシング時の表面保護)のような特殊な用途にも利用されています。
また、保護フィルムは、対象物に比較的簡単に貼り付けることができますが、空気混入を避けるために専用の装置で貼られる場合もあります。さらに必要に応じて剥がすことも可能です。これにより、交換やクリーニングが容易に行える点も特徴の一つです。
保護フィルムの使用用途
保護フィルムは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。
1. 電子機器
スマートフォンやタブレットの画面は日常的に触れられるため、傷や汚れから保護する必要があります。保護フィルムは画面を保護するだけでなく、指紋や油脂を防ぐ効果を有する製品も多いです。また、一部のフィルムにはブルーライトをカットするなど、目の健康を考慮した製品も販売されています。
2. 光学機器
カメラのレンズは画質に直接影響するため、清潔な状態を保つことが重要です。保護フィルムはレンズを傷や汚れから守り、撮影品質を向上させる役割を果たします。特にアウトドアでの撮影や過酷な環境下での使用時に有用です。
3. 自動車
自動車やオートバイの塗装面は石や虫、鳥の糞などの影響を受けやすいため、保護フィルムが使用されることも多いです。これにより、塗装面を傷や汚れから保護し、車両の外観を美しく保ちます。また、保護フィルムは塗装面の変色や劣化を防ぐ効果もあります。
4. 医療機器
医療機器や医療用デバイスの画面やセンサーは清潔な状態を保つことが必要です。保護フィルムは感染症のリスクを軽減し、患者の安全性を確保するために使用されます。また、一部のフィルムには、除菌処理が施された製品も販売されています。
5. 半導体
半導体工程で使用される保護フィルムの例として、シリコンウエハのバックグラインドやダイシングの工程で、汚染防止、保護、固定を目的としたケースがあります。この場合、専用のウェハマウンターで貼り付けられ、作業後にUV照射や加熱により剥離できます。
6. 各種輸送包装
金属やプラスチック板、ガラス板などの材料と家具や家電、プラスチック製品、装置、自動車など製品の輸送保管中の傷や汚れ防止に保護フィルムは使われます。金属板などの材料の場合は、加工時の傷防止としても使用されます。製品への保護フィルムは、使用するまでの保護に使われることが多く、使用する際には保護フィルムをきれいに剥がすことができます。
保護フィルムの原理
保護フィルムは対象物の表面に貼り付けられることで、物理的に保護する役割を果たします。これにより、傷や汚れから対象物を守ることが可能です。一般的には基材や塗布層などで構成されます。
基材は保護フィルムの基本的な構成要素であり、フィルムの支持体です。一般的に使用される基材はポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック素材です。基材には主に透明な素材が使用されます。
これらの素材は柔軟性があり、薄いために曲面にも適応しやすく、対象物に密着しやすい特性があります。また、耐久性が高く、耐摩耗性や耐衝撃性がある点も特徴です。
保護フィルムの種類に応じて表面に特殊な塗料やコーティングが施されています。このことで指紋や油脂の付着を防止したり、衝撃吸収性を高めたりする効果が得られます。これらのフィルムを粘着性の物質で保護対象物の表面に貼り付ける仕組みです。
保護フィルムの種類
保護フィルムには多くの種類があります。以下はその一例です。
1. 画面保護フィルム
電子デバイスなどの画面を保護するフィルムです。導電性コーティングによってフィルム表面が導電性となり、静電気の放電や静電容量型タッチスクリーンへの対応が可能となります。スマートフォンやタブレットの画面などに使用され、光沢性やマットな仕上げなどの種類があります。
また、衝撃を吸収して対象物を保護する役割も果たします。柔軟性な素材が使用されているため、外部からの衝撃や落下などの力を吸収することが可能です。これにより、デバイスを物理的なダメージから保護します。
2. 防錆フィルム
金属表面を錆から保護するためのフィルムです。金属部品や機械部品などの表面を覆い、湿気や酸化によって錆びたり腐食したりすることを防ぎます。自動車のエンジン部品や工業機械の部品などで使用されることがあります。
3. プライバシーフィルム
側面からの視線を遮断する特殊なフィルムです。画面の内容を他人から見えにくくすることが可能であり、オフィスのディスプレイやスマートフォンやタブレットの画面などで使用されます。機密情報や個人情報の保護に役立ちます。
4. バックグラインドテープ
バックグラインドテープは、半導体ウエハを薄くする研磨工程で、吸着テーブルへの固定および回路やトランジスタの描画面の保護のために使用されています。研磨工程後はUV照射などにより、粘着力を低下させることで容易に剥離できます。
本記事は保護フィルムを製造・販売する株式会社アイセロ様に監修を頂きました。
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