探傷試験とは
探傷試験とは、材料や構造物の内部に存在する傷 (欠陥) や不連続部を非破壊で検出し、評価する試験方法です。
製品や構造物を破壊せずに、内部の溶接不良、割れ、空洞、異物の混入などを検出できるため、品質管理や安全性確認に欠かせない技術です。探傷試験は主に「非破壊検査 (NDT:Non-Destructive Testing) 」の一環として行われます。
探傷試験は、次のような理由から広く用いられています。1つ目は安全性の確保のためで、構造物や機械部品が欠陥により破損するリスクを未然に防ぐために実施します。次に挙げられるのが品質向上の目的です。探傷試験は製品の信頼性を高めると同時に、製造工程の改善にも役立ちます。また探傷試験は、重大な事故や設備故障を防ぐことで修理・交換コストを削減します。工業製品の品質保証や安全性確保において不可欠な技術であり、検査対象や目的に応じて最適な試験方法を選択することで、確実かつ効率的な欠陥検出が可能となります。各試験には得意分野や制約があるため、複数の手法を組み合わせて使用することもよくあります。
探傷試験の使用用途
探傷試験は下記の用途で使用されます。
1. 製造業における品質管理
製造工程で欠陥検出し、製品の品質を向上するために探傷試験が行われます。
溶接部検査
溶接部検査は溶接箇所に生じる割れ、未溶着、気孔などの欠陥を検出します。
鋳造品や鍛造品の内部検査
鋳造品・鍛造品の内部検査は、鋳造品の空洞や不純物混入、鍛造品の内部割れなどを検査します。
加工部品の表面検査
加工部品の表面検査は、切削加工や研削加工後の寸法精度の確認やクラック検出をします。
2. 建設・インフラ分野
建築構造物やインフラ設備の安全性を向上するために実施されます。
橋梁・トンネルの安全検査
橋梁・トンネルの安全検査は、コンクリート内部の鉄筋腐食やひび割れを検出します。
鉄骨構造物の検査
鉄骨構造物の検査は、溶接部や接合部の欠陥を検出します。
配管・パイプライン検査
配管・パイプライン検査は、配管内部の腐食、割れ、漏洩箇所を検出します。
3. 航空・宇宙分野
航空機や宇宙機器の安全性や信頼性を向上するために実施されます。
航空機部品の検査
航空機部品の検査は、エンジン部品や翼など重要部品の表面・内部の欠陥検出のために実施されます。
宇宙分野での材料検査
宇宙分野での材料検査は、ロケットや人工衛星の部品の耐久性向上のために実施されます。
4. 鉄道分野
鉄道車両や線路の安全性を向上するために活用されています。
車両部品の検査
車両部品の検査は、ホイールや軸受の表面・内部割れの検査のために実施されます。
鉄道レール検査
鉄道レール検査は、レールの疲労割れや内部欠陥を非破壊で検出するために実施されます。
5. 発電・エネルギー分野
探傷試験はエネルギープラントの安全稼働を支えるための重要な検査です。
原子力設備の検査
原子力設備の検査は、原子炉容器や配管の内部腐食、ひび割れを検出するために実施されます。
風力発電設備の検査
風力発電設備の検査は、風車のブレードや接合部の欠陥検出のために実施されます。
石油・ガスプラントの検査
石油・ガスプラントの検査は、配管やタンクの溶接部、腐食箇所、漏れの確認のために実施されます。