光変調器

光変調器とは

光変調器とは、電気信号を光信号に変換して出力することで、高速な変調用途に用いる装置です。

E/Oコンバーター (逆の変換を行う場合はO/Eコンバーター) とも呼ばれ、主に光ファイバー通信における光伝達装置の一部として使用されます。従来の方式では、変調信号の情報伝達に用いられる信号は常に電気信号でした。

しかしながら、超高速で低損失、大容量の光ファイバーを用いた光通信を実現するには、一般的に電気信号を何かしらの方法によって光源の変調に使用し、光信号として出力する必要があります。このような役割を果たしている装置が光変調器です。

光変調器の使用用途

光変調器は、主に光ファイバー通信の電気的信号の変調を光ファイバー通信用に変換するための変調器として用いられています。今や情報伝達の基盤となっている光ファイバー通信において、極めて重要な役割を果たしています。

光ファイバー通信は、通信用の回線に損失が大きくノイズに弱い通常の電線ではなく、低損失かつ広帯域という優れた性能を持つ光ファイバーを利用することで、高速化や長距離伝達を可能にした光通信方式です。この方式を導入するには、電気信号と光信号を流動的にやり取りできる装置が必要で、光変調器が使用されています。

光変調器の原理

光を変調させる原理として、光の光源として利用されている半導体レーザーの電気的なバイアスを直接ON/OFFして変調した光を光源として用いる「直接変調方式」と、半導体レーザーからの光を、LN (LiNbO3:ニオブ酸リチウム) 変調器などを用いて変調する「外部変調方式」があります。

1. 直接変調方式

直接変調方式は、光源である半導体レーザーそのものが光信号に変調する方式です。単純構造なので小型化も可能な点はメリットですが、半導体レーザー自体の応答速度には限界があり、チャーピングと呼ばれる波長の揺らぎを引きおこすため、高速性が求められる幹線用の大容量な光ファイバー通信にはあまり適していません。

2. 外部変調方式

外部変調方式では、光源である半導体レーザーからは一定波長の光が出力され続けます。この光をLN変調器などの光変調器に入力し、外部から取り込まれた電気信号によって光の振幅や位相を変化させます。これにより、電気信号が変調された光となって出力されるのが原理です。

一般的に光変調器は、この外部変調方式で用いられる変調器です。電気的なON/OFFの変調を光のON/OFFに変換する手法には、光の振幅や位相を高速で変化させることが重要で、そのために光の干渉や電界吸収などの物理現象を活用しています。

具体的には、電界吸収型 (EA型) の光変調器やマッハツェンダー型のLN変調器があります。大容量幹線の光通信でよく用いられるLN変調器は、Y字型に分配された光の導波路を有し、導波路にバイアスを印加し光の位相シフトを引きおこすことでLN変調器を通過する光の強度を強めたり、弱めたりすることが可能です。

この手法によれば、直接変調方式のチャーピング (波長揺らぎ) が原理的に発生しないため、大容量な高速光ファイバー通信に非常に適した光変調が実現できます。

光変調器のその他情報

1. LN変調器のDCドリフト補正

LN変調器は、マッハツェンダー干渉を原理とするため、低損失かつ低チャーピングという特徴を有します。しかし、温度変化やDCドリフトによる光出力のドリフト変化が発生するという課題があります。

そのため、LN変調器を扱う各メーカーからは、DCのバイアスをPD等からのフィードバック情報をもとに自動補正するLN変調器用の専用のバイアスコントローラが通常サポートされています。

2. 光変調器の材料革新

電界吸収型や直接変調方式などと比べて非常に波長揺らぎを抑制可能なLN変調器ですが、駆動電圧が5V程度と比較的大きく、サイズも50mm以上と比較的大きい変調器のため、小型低消費電力化に向けての開発は継続的に進められています。

昨今ではシリコンフォトニクスと呼ばれるシリコン基板上にリング状に形成された光導波路やInP化合物半導体上にMQW (多重量子井戸) 形成した光導波路など、各メーカーの研究機関により、LN変調器の弱点を補うべく研究開発が活発に進められています。

また、将来のさらなる大容量通信のため、E/Oコンバーターを介さずに光信号を積極的に光のままIC内部で扱うNTTのIWONでの光電融合技術という研究開発も盛んに進められている状況です。

参考文献
https://tmi.yokogawa.com/jp/library/resources/measurement-tips/mechanism_of_optical_fiber_communication_and_optical_spectrum_measurement/
https://eetimes.jp/ee/articles/1806/06/news031.html

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