カプセル内視鏡

カプセル内視鏡とは

カプセル内視鏡とは、消化管 (主に小腸) の内部を診断するために使用される医療機器です。

名前の通りカプセル状の小型カメラが内蔵されており、患者が飲み込むことで、体内を通過しながら連続的に画像や動画を撮影します。撮影されたデータは外部の記録装置に転送され、医師が解析して診断を行います。カプセル内視鏡は、従来の内視鏡検査 (胃カメラや大腸内視鏡) ではアクセスが困難な小腸の診断に特化しており、痛みを伴わず、体への負担が少ないのが特徴です。主に小腸疾患の早期発見や原因不明の消化管出血の診断などに活用されています。

カプセル内視鏡の使用用途

カプセル内視鏡の主な使用用途は以下の通りです。

1. 小腸疾患の診断

従来の内視鏡では観察が難しい小腸の内部を詳細に検査するために使用されます。以下の疾患の診断に役立ちます。

  • 小腸腫瘍:良性・悪性を問わず、腫瘍の有無を確認します。
  • クローン病:小腸に炎症や潰瘍があるかどうかを確認します。
  • 小腸ポリープ:小腸内のポリープの存在を調べます。

2. 原因不明の消化管出血の評価

消化管からの出血の原因が特定できない場合に使用されます。小腸内の微細な出血箇所や潰瘍を発見することで、原因を突き止めるのに役立ちます。

3. 消化管潰瘍の診断

小腸内の潰瘍や炎症の程度を観察し、治療計画に役立てます。特に、NSAIDs (非ステロイド性抗炎症薬) による小腸潰瘍の診断に使用されます。

4. 腸管狭窄や閉塞の確認

腸管が狭窄しているか、または閉塞している場合にカプセル内視鏡を用いて、その範囲や程度を調べることができます。ただし、完全な閉塞が疑われる場合には使用を避けることもあります。

5. 小腸リンパ腫やがんの診断

小腸に発生する悪性リンパ腫やがんの診断に使用されます。従来の画像診断では見つけにくい小さな病変を発見するのに有効です。

6. 炎症性腸疾患 (IBD) の評価

クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の患者に対し、小腸の病変の有無や進行度を確認します。これにより、治療の適切な方向性を判断できます。