バイオ肥料とは
バイオ肥料とは、微生物の働きを利用して、植物の成長を助け、土壌の肥沃度を向上させる肥料の一種です。
植物に必要な栄養素を直接供給するだけでなく、土壌中の栄養素の効率的な利用を促進し植物の根に有益な微生物を供給する役割もあります。バイオ肥料に含まれる微生物は窒素固定菌、リン酸溶解菌、菌根菌などがあり、これらが土壌環境を改善し、作物の健全な成長をサポートします。例えば窒素固定菌は大気中の窒素を植物が利用可能な形に変換し、化学肥料を使用せずに土壌に窒素を供給します。またリン酸溶解菌は土壌に存在する難溶性のリン酸を溶解し、植物が吸収可能な形に変える役割を担います。これにより土壌中の栄養素の利用が効率化され、環境への負荷も軽減されます。
化学肥料の使用量を減らすことで、土壌汚染や水質汚染を防ぎ環境への負担を低減するとともに、作物の品質向上や収量増加に貢献します。そのためバイオ肥料は環境にやさしく、持続可能な農業を実現するために不可欠な資源とされています。
バイオ肥料の使用用途
バイオ肥料は、微生物の特性を利用して植物の生育を支援し、土壌の健全性を保つために幅広い用途で使用されます。その用途は作物や土壌環境に応じてさまざまで、以下のように分類できます。
1. 窒素固定菌
窒素固定菌を含むバイオ肥料は、大豆やインゲン豆などのマメ科作物に特に効果を発揮します。これらの菌は大気中の窒素を植物が吸収しやすい形に変換し、土壌中の窒素分を補います。この過程によって化学肥料の窒素使用量が削減され、環境への影響を軽減します。さらにイネやトウモロコシなどの非マメ科作物でも、窒素供給型のバイオ肥料を使用することで植物の健全な成長を支援できます。
2. リン酸溶解菌
リン酸溶解菌を含んだバイオ肥料は、土壌中に存在する難溶性のリン酸を植物が利用できる形に変える働きをします。このタイプのバイオ肥料は、リン分の吸収が制限されやすい作物 (野菜や果樹など) に特に有効です。リン酸を効率的に供給することで、作物の根の成長を促進し収穫量や品質の向上に寄与します。
3. 菌根菌
菌根菌は植物の根と共生し、土壌中の水分や栄養素 (特にリンや亜鉛など微量元素) の吸収を助けます。この用途は乾燥した地域や栄養が不足している土壌で育つ作物に特に効果的です。菌根菌によって作物がストレスに強くなるため、過酷な環境でも収穫量を安定させることが可能になります。
4. 病害抑制
一部のバイオ肥料には病原菌の活動を抑える働きがあり、作物の病害を軽減する効果があります。例えばトリコデルマ菌を含むバイオ肥料は、土壌中の病原菌の抑制とともに植物の根の健康を保つために有効です。これにより連作障害や土壌病害の発生を防ぐことができ、作物の健全な成長をサポートします。
5. 土壌改良
バイオ肥料は微生物の活動によって土壌の物理的および化学的性質を改善します。機物分解菌を含んだバイオ肥料は、土壌中の有機物を分解し栄養素を供給するだけでなく、土壌の通気性や保水性を向上させます。これにより過度の耕作や化学肥料の使用によって劣化した土壌の回復を促進します。
参考文献
https://bio-f.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/05/Bio-Ftoha-2.pdf
https://lab-brains.as-1.co.jp/for-biz/2021/12/39294/