ゴム球

ゴム球とは

ゴム球とは、液体や気体を移す際に使用するための器具です。

一口にゴム球といっても、単純に対象物を吸引・吐出する単球タイプのものの他に、吐出のみに使用するもの、排気や吸引の際に押す箇所が異なる複数のバルブを持つもの、血圧計で加圧する際に空気を送り込むものなど用途に合わせて、大きさや形状のバリエーションが豊富です。

また、使用される素材ももっとも一般的なラバー素材 (天然ゴム) のほか、耐薬品性に優れたシリコーン製など用途に合わせて様々な種類があります。

ゴム球の使用用途

気体を対象物とするゴム球の例としては血圧計用ゴム球があり、血圧測定時の加圧のため手動で空気を腕帯へ送気するのに使用されます。一方、液体を対象とする例としてはピペットや駒込ピペットと組み合わせて液体を容器から容器に移す場合などです。

このとき、メスピペットなど標線や目盛のあるピペットをと共に使用することで、一定量の溶媒を計り取ることもできます。また、特殊な三点バルブを持つ安全ピペッターは強酸や強アルカリ、毒性のある物質などを計り取る際に有用です。

ゴム球の原理

基本的にゴム球による物質の移動は、ゴム球を押しつぶすことに伴うゴム球内部の気体の排気と排気による陰圧状態を解放しようとする圧を利用したものです。血圧計用ゴム球は、押しつぶすことでゴム球内にある空気が血圧計側に送気され、手を緩めると外部から吸気して元の状態まで膨らみます。

この動作を繰り返すことで効率よく腕帯内に送気し、血圧測定に必要な加圧を得ることが可能です。ピペットと組み合わせて使用するゴム球(単球タイプ) は、ピペットにセットしたのち溶液中でゴム球を押しつぶすと中の空気が抜けて陰圧となり、そのまま液体中で手を緩めると外部からの圧力に押されて溶液がピペット先端からピペット内部に流れ込みます。

この状態から液体を移したい容器の上で再度ゆっくりゴム球を押しつぶすと、ピペット内部に保持されている溶媒が押し出される仕組みです。安全ピペッターではゴム球内の脱気時、液体吸い上げ時、液体吐出時時それぞれに用いるバルブが異なります。

ゴム球内の陰圧を利用して溶媒を吸引する原理は通常のゴム球と同じですが、吐出の際は吐出用バルブを押し潰して外部の空気をゴム球内へ取り込むことでその体積分の溶媒をピペット内に保持できなくなり、自然落下で吐出されます。

ゴム球の種類

1. シリコンゴム球

シリコンゴム球は、シリコーンポリマーを主成分とするゴムで作られています。このゴムは耐熱性に優れており、極端な温度変化にも対応が可能です。

シリコンゴム球は、高温環境での使用に適しており、耐薬品性や耐久性も高く、医療機器や食品加工装置、自動車部品などの幅広い用途で利用されています。また、シリコンゴム球は柔軟性があり、曲げや伸縮に対しても優れた耐性を持ちます。

2. EPDMゴム球

EPDMゴム球は、エチレンプロピレンジエンゴム (EPDM) を主成分とするゴムです。このゴムは耐候性に優れており、太陽光、雨水、酸素などの外部要因に対して長期間にわたって耐えることができます。

EPDMゴム球は耐薬品性も高く、酸やアルカリ、オゾンなどの化学物質にも強い耐性を持ちます。さらに、耐熱性や耐摩耗性も優れており、屋外環境や自動車のシール材、建築材料、電線の絶縁材料など、耐久性が求められるさまざまな用途に広く使用が可能です。

3. ニトリルゴム球

ニトリルゴム球は、ニトリルブタジエンゴム (NBR) を主成分とするゴムです。このゴムは油や燃料に対する耐性に優れており、耐油性が求められる自動車部品、機械のシール材、配管などの幅広い用途で利用されています。

ニトリルゴム球は耐候性も高く、屋外環境でも劣化しにくいのが特徴です。また、ニトリルゴム球は耐薬品性もあり、多くの化学物質に対して安定した性能を発揮できます。

4. ネオプレンゴム球

ネオプレンゴム球は、クロロプレンゴム (CR) を主成分とするゴムです。ネオプレンゴム球は耐候性に優れており、紫外線や大気汚染物質などの外部環境要因に対しても耐えることができます。耐油性や耐薬品性も高く、多くの油や溶剤に対して安定性を持ちます。

ネオプレンゴム球はまた、耐摩耗性や耐火性にも優れており、耐久性が求められる航空機や自動車部品、建築材料、電線の保護材料などの用途で使用されるゴム球です。

5. フルオロゴム球

フルオロゴム球は、フルオロカーボン重合体を主成分とするゴムです。このゴムは耐熱性に優れており、高温環境での使用に適しています。また、耐薬品性が高く、強酸や強アルカリなどの腐食性物質に対しても優れた耐性を持ちます。

フルオロゴム球はさらに、耐摩耗性や耐候性も高く、厳しい環境下での使用が可能です。そのため、薬品処理装置、半導体製造、航空宇宙産業などの分野で幅広く利用されています。

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