エアサンプラ

エアサンプラとはエアサンプラ

エアサンプラとは、有害大気汚染物質等測定や空中浮遊菌を捕集するために使用される機器です。

空中浮遊菌をモニタリングするために、培地に菌を採集します。 細菌や真菌用の培地をセットし、毎分何Lかを設定し吸引することで空中浮遊菌を培地に衝突させサンプリングします。 この空中浮遊菌の測定は、室内の環境管理において幅広い分野で使用されています。エアーサンプラーと言われることもあります。

エアサンプラの使用用途

エアサンプラの使用用途は、有害大気汚染物質等捕集用と空中浮遊菌捕集用の2つに大きく分けられます。

1. 有害大気汚染物質等捕集用

工場など、有害物質を排出するリスクがある施設で、その有害物質の除去とモニタリングに使用されます。

2. 空中浮遊菌捕集用

注射剤や目薬など無菌性が保証されるべき医薬品の製造をおこなうクリーンルームをはじめとして、液剤の調製充填工程や手術室、食品の製造工場の衛生管理に使用されます。

エアサンプラの原理

エアサンプラは、設定された流量の速度で空気を一定量吸引できます。装置には吸引ポンプが組み込まれています。

空気を吸引して装置に大量に流すので、空気中の物質や菌を濃縮した形でサンプリングすることができ、比較的低濃度の物質でも測定できます。

エアサンプラの種類

エアサンプラは、有害大気汚染物質捕集用に使用される製品と空中浮遊菌の捕集に使用される製品があります。それぞれ、全く別の製品です。

1. 有害大気汚染物質等捕集用

環境省の有害大気汚染物質等測定方法マニュアルに準ずる方法で、フィルタなどに有害大気汚染物質等を捕集する装置です。5~40L/分のローボリュームタイプと、100~1,200L/分のハイボリュームタイプがあり、環境省のマニュアルでは、どちらも使える項目が多く、それぞれ基準値も違います。

また、ハイボリュームタイプは遠隔操作も可能です。どちらにも質量分析や粒度分布を測定できる装置があります。

2. 空中浮遊菌捕集用

寒天培地に空気を強制的に吹き付け、室内の空中浮遊菌を捕集する装置です。寒天培地はその後培養し、クリーンルームの衛生管理指標として使用されます。

エアサンプラの選び方

1. 有害大気汚染物質等捕集用

測定したい物質によって、石英繊維製フィルタ、ガラス繊維製フィルタ、フッ素樹脂製フィルタなど、フィルタの素材を選択します。また、捕集が長期間及ぶ場合には、遠隔操作ができるハイボリュームタイプが便利です。

2. 空中浮遊菌捕集用

空中浮遊菌捕集用のエアサンプラには、サンプリング方式が複数あります。

  • スリット方式
    回転している培地に一定サイズのスリットから空気を吹き付け採集する方法です。
  • ピンホール方式
    スリット方式の改良法で、機器の上部に培地をセットし、吸引のための数百の穴が開いた蓋をし空中浮遊菌を採集します。
  • RCS方式
    ロイター遠心サンプラーを用いて、培地に吸引した空気を吹き付け衝突させる方法です。

空中浮遊菌の測定は、メーカーによっては他の目的に使用できない専用の培地が必要です。培地には使用期限があるため、試験量が少ないとコスト高になってしまいます。逆に、培地を調製滅菌して市販のシャーレに充填し、使用できるタイプのエアサンプラは、サンプル数が多い場合煩雑で急な測定に対応できません。用途によって使い分けましょう。

また、JIS K 3836「空調浮遊菌測定器の捕集性能試験方法」を用いた捕集効率も参考にできます。

エアサンプラのその他情報

1. 法令について

有害大気汚染物質等捕集用
環境省が設定した有害大気汚染物質測定方法マニュアル に従った対応が必要となります。

空中浮遊菌捕集用
空中浮遊菌についての法規は、さまざまです。クリーンルームの用途や準拠する法律によって、基準が違います。

食品については、「HACCPに基づく衛生管理のための手引書」に規定されています。医薬品製造に関しては「無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法」、それ以外のクリーンルームでは、「ISO 14644-1:2015(en), Cleanrooms and associated controlled environments — Part 1: Classification of air cleanliness by particle concentration」を参照することが多いです。

2. 校正

エアサンプラは大量の空気を定量的に流すため、定期的に校正を行いデータを保証する必要があります。校正には、標準機を購入する方法と、メーカーに依頼する方法があります。標準機を使用する場合には、定期的な標準機の校正が必要です。

参考文献
https://www.nirs.qst.go.jp/rd/quality_assurance/gmp/document/textbook_gmptraining/day1_05_merck.pdf
https://www.kankyo-eng.jp/cleen_room_bio.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00002.html
https://www.env.go.jp/air/osen/manual2/index.html
https://www.pmda.go.jp/files/000163289.pdf
https://www.iso.org/obp/ui/#iso:std:iso:14644:-1:ed-2:v1:en

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