ウレタン防水材

ウレタン防水材とはウレタン防水材

ウレタン防水材とは、バルコニーやマンションの共用施設など防水が必要な場所に塗布される防水材です。

ウレタン防水材は、比較的安価で現場での作業が容易なうえ、施工可能箇所も多いことからよく使用されています。

ウレタン防水材の使用用途

ウレタン防水材は多くの建築物に使用されており、屋上やベランダ (床) 防水、マンションの共用部分である開放廊下、階段などで使用されています。これら建築物の防水に使用されるウレタン防水材は大きく分けて、1液タイプと硬化剤と混合したのち使用する2液タイプです。

1. 1液タイプのウレタン防水材

1液タイプのウレタン防水材は、作業が非常に容易であることから、ベランダの防水などに使用されています。

2. 2液タイプのウレタン防水材

2液タイプには、手塗りタイプと吹き付けタイプがあります。手塗りタイプは、主剤と硬化剤の2成分の材料を混合して塗布した後、常温下で硬化反応させて塗膜を形成するタイプです。この塗膜はゴム弾性を持ち、屋上やベランダの防水などに使用されています。

吹き付け2液タイプは、超硬化ウレタンが開発された事により、製造されるようになったウレタン防水材です。超硬化ウレタンと硬化剤を、専用の機械を用いて混合しながら吹き付けることで塗布します。塗布後、数十秒で硬化し始めるため、勾配がついた部位や、人通りの多い廊下や階段などで広く使用されるようになりました。

超硬化ウレタン防水材は、橋梁や蓄熱層、地下防水などの土木分野でも使用されています。ウレタン防水材を使用することで、構造物の水からの保護、コンクリートの塩害や炭酸ガスによる中性化からの保護、コンクリート剥落の防止などが可能です。土木の中でも道路においては、車両通過による膨張と収縮による劣化や、融雪剤使用での劣化を防ぐために、防水加工工事がされています。

また、混合させて吹き付ける方式のため、凹凸や地下など十分な乾燥が見込めない場所にもスプレー吹き付けによって防水が可能です。さらに超硬化ウレタン防水材は、耐薬品性、耐熱性、ひび割れ追従、耐摩耗性に優れており、下水関連施設や、海洋構造物、鋼製のタンクや構造物などのコーティングにも使用されています。

ウレタン防水材の原理

ウレタン防水材に使用されているウレタンは、ウレタン樹脂又は高分子化合物 (ポリマー) の総称です。ウレタンは、耐圧性、防水性、弾力性に優れた特性を持っています。

1. 1液タイプのウレタン防水材

1液タイプのウレタン防水材は、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールを重合反応させることを利用して防水膜を形成します。主剤と硬化剤を混合した状態で市販されています。1液タイプのウレタン防水材を塗布すると、イソシアネート基を持った化合物が、空気中の水分を利用して常温で硬化反応するため、硬化まで24時間程度と時間はかかりますが、施工は比較的簡易なのがメリットです。

2. 2液タイプのウレタン防水材

2液タイプはさらに、手塗りタイプと吹き付けタイプの2種類に分類できます。

手塗りタイプ
手塗りタイプはポリイソアネートを主成分とする主剤と、ポリオールを主成分とする硬化剤を混合してから塗布して防水加工します。主剤は、ウレタンプレポリマーの分子末端にイソシアネート基を持たせた粘稠な液体です。硬化剤は、主剤のイソシアネート基と反応するアミン、ポリオールなどと充填剤、可塑剤、安定剤など練り混ぜたペースト状の液体です。

この手塗りタイプの2液タイプウレタン防水材を使用するにあたっては、圧送機を使用して供給するシステムがあります。このため、屋上やベランダに2液の撹拌装置などを持ち込む必要がありません。このシステムを使用すれば、作業効率の向上や荷揚げ作業の短縮、廃材の大幅削減が図れるメリットがあります。また、撹拌はミキサーにより自動でおこなわれ、撹拌不良の心配がなく、均一な品質のウレタン防水材が供給されます。

吹き付けタイプ
超硬化ウレタンを用いた吹き付け2液タイプのウレタン防水材においても、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールを反応させて防水膜を形成します。吹き付けタイプの特徴は、主剤と硬化剤を各々高圧圧送し、スプレーガン部で混合させて吹付け施工することです。

短時間で硬化するため、一般部と立上がり部を共通の材料で施工できるのがメリットです。ただし、吹付け機は防水材メーカーにより異なるため、施工に際しては防水材メーカーの指導を受ける必要があります。

ウレタン防水材のその他情報

1. 液状ウレタン防水材の施工方法

1液タイプおよび手塗り2液タイプのウレタン防水材においては、いずれも液状の防水材を固めて防水膜を作るため、比較的簡易な工程で防水膜を形成できるのがメリットです。実際には、下地となる素材の上にプライマと呼ばれる接着を高める層を設け、その上に防水材を塗布しています。

しかしながら、この方法で、コンクリートなどに塗布する際には、コンクリートの割れが防水膜にそのまま反映されるため、防水膜が破断するというデメリットがあります。また、下地に付着していた水分により水蒸気が生じ、膨れが発生するなどのデメリットもありました。

このため、通気緩衝シートとウレタンを組み合わせた工法が開発されました。この工法では、下地の上にプライマーを設け、通気緩衝シートで覆い、その上に液体のウレタン防止剤を塗布して硬化させています。防水材と下地の間にシートが介在するため、下地を反映しての破断や下地の水分による膨れを防ぐことが可能です。この工法が採用されて以降、小規模の改修が主流であったウレタン防水は、新築や大規模な防水改修工事にも採用されるようになりました。

2. ウレタン防水材に使用するトップコート

トップコートとは、塗装において仕上げに塗布する材料です。ウレタン防水材を使用した塗装では、ウレタンで防水層を施行した後の仕上げ作業としてトップコートを塗ります。

ウレタン防水材の弱点は、紫外線にさらされることで変色する性質があることです。また、硬化する性質もあるため、防水層のひび割れや劣化のおそれもあります。そこで、トップコートを塗ることで紫外線から保護して、上記のような劣化を防いでいます。

また、ウレタン防水材は粘着性をもつため、表面をそのままにしていると、ゴミやほこりが付着しやすく、除去も困難です。そこで、トップコートを塗布して、粘着性をおさえています。

トップコートを施工することで、ウレタン防水材だけでは防げない劣化やウレタン防水材そのものの弱点も補えます。このため、トップコートの施工は、仕上げにおいて大切な工程です。

3. ウレタン防水材の塗布計算方法

塗布量とは、塗料の性能を発揮するために、どの程度の量を塗ればいいかを示した値です。1m2あたりの塗布量をかけることで必要な量を計算できます。

仮に、ウレタン防水材の規定塗布量が0.7kgの場合、10m2の施工面積で7kgが必要という結果です。しかし、実際には下地の表面に凹凸などがあり、その形状も含めて面積を計算しなければ、算出した必要塗布量が大幅にずれます。表面形状を反映した面積から塗布量を算出することが重要です。

参考文献
https://www.dyflex.co.jp/business/
http://www.resitect.net/ressys/pages/case01
http://watanabekogyo.co.jp/urethane/
https://gaiheki-tosou-reform.com/urethane-top-coat/
https://yuukisougyou.com/tosou/toryo/tohuryou/

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