ドライシッパー輸送

監修:株式会社三光堂

ドライシッパー輸送とは

ドライシッパー輸送とは、生物学的試料や物質を液体窒素などの極低温条件下で安全に輸送するための物流サービスです。

ドライシッパー (英:Dry Shipper)は極低温環境で輸送する専用のコンテナ・装置です。一般的には液体窒素などを使用して試料を冷却し、極低温で保持するように設計されています。液体窒素の取り扱いに関連する危険性を最小限に抑える構造の保存容器です。

ドライシッパー輸送を利用することで、試料を長距離輸送することが可能です。長時間において極低温環境を安定して維持することができ、試料の品質を保つことができます。様々な条件で使用できるため、国際輸送に適用されることも多いです。

ドライシッパー輸送の使用用途

ドライシッパー輸送は極低温で生物学的物質などを安全に輸送するサービスです。以下はその使用用途一例です。

1. 医療診断

患者から採取された細胞などの生体試料を、病院や診断施設から遠隔の検査施設に送る際に使用されます。血液サンプルを液体窒素で急速に凍結することで試料の品質を維持し、正確な検査結果を得ることが可能です。これにより、診断の正確性と迅速さが向上し、病状の早期検出しつつ治療を最適化することができます。

2. 生態学

生態学研究においては野外でサンプリングが行われます。これらのサンプルを本拠地の研究施設に運び、解析や調査を行うためにドライシッパーが使用されます。生態系の調査や環境モニタリングにおいて、試料の品質を保持しながら遠隔地から試料を輸送することが可能です。

3. 災害調査

災害発生時にウイルスサンプリングや輸送が必要な場合も多いです。一例としては、感染症の発生地域から試料を収集し、研究施設に送る際にドライシッパーが使用されます。これにより、疫学的な調査やウイルスの解析が迅速に行われ、早期に対策を実施することが可能です。

ドライシッパー輸送の原理

ドライシッパーは内部に液体窒素やドライアイスなどの冷却材を導入できる冷却装置です。これにより、試料を極低温に保つことができます。ドライシッパー容器内で試料同士や冷却材が接触することを防止します。

試料は、適切な試料容器やチューブに入れられ、必要に応じて遮光材やバリア袋で包装されます。これにより、試料が外部からの熱伝導や熱放射を最小限に抑え、極低温を維持します。

また、密封されたシール機構により、試料と冷却材の混触を防ぎ、安全に輸送できます。

必要に応じて内部温度や試料の状態を監視・記録するセンサーが組み込まれていることがあります。これにより、試料の品質を常時追跡することが可能です。

ドライシッパー輸送の選び方

ドライシッパー輸送を検討する場合は、様々な要因を考慮する必要があります。以下はその選定要素一例です。

1. 試料の種類・数量

試料の種類や数量を考慮する必要があります。ドライシッパーの種類に応じて、収容できる試料の量や容積に制限がある場合があります。輸送サービスの適用種類や限界量などを事前に確認することが重要です。

2. 保存温度

輸送する試料や物質を保存する温度を確認します。一般的には-150°Cから-196°Cの範囲で試料を保持するドライシッパーが多く使用されます。ただし、輸送製品によってはそれ以下で輸送可能なサービスを選択することが必要です。

3. 保持時間

試料を輸送中にどれくらいの時間保存する必要があるかを考慮します。ドライシッパーの多くは長期保存に適していますが、短期保存しかできない容器・サービスもあります。

4. 国際法

試料を国際的に輸送する場合、国際輸送に関する法規制を遵守する必要があります。選定するサービス業者が国際的な輸送に適しているかを確認することも重要です。

5. トラッキング機能

ドライシッパー輸送のサービスによっては、内部温度や試料の状態を監視するためのセンサーが組み込まれています。厳格な管理体制を構築したい場合、トラッキング機能が有するサービスを選択することが必要です。これにより、価値が高い物品も低温輸送することができます。

本記事は株式会社三光堂様に監修を頂きました。

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