監修:マルヤス工業株式会社
太陽熱温水器とは
太陽熱温水器 (英: solar water heater) とは、太陽エネルギーを熱に変換し、その熱を利用して温水を供給するための装置です。一般的には、集熱器と温水を貯めておくための貯湯タンクが一体となった自然循環式のものを太陽熱温水器と呼ぶが、それを応用した貯湯タンクと集熱器が別体となった強制循環式も同様のものとして説明します。
太陽熱温水器は、再生可能エネルギーに位置する太陽熱を給湯のエネルギー源として使用することが可能です。結果として給湯エネルギー費の削減と二酸化炭素の排出を削減することの2つの効果を得ることができます。太陽エネルギーは誰もが無料で利用できるため、長期的には経済的な利益をもたらします。また、昨今では世界的なカーボンニュートラルへの取り組みから企業に対してCO₂の削減を求められ、太陽熱利用を取り入れる動きが増えてきています。
ただし、自然エネルギーを利用する太陽熱温水器や太陽光発電は設置向きや日照、気温条件などにより、得られる効果が左右されるため、設置する環境により効率が低下する場合があります。また、設置条件、給湯エネルギー負荷、初期投資のバランスが重要となるため、事前に計画と検討が必要です。
太陽熱温水器の使用用途
太陽熱温水器は多様な用途で使用することが可能です。
1. 一般家庭
一般家庭では、温水を供給するために広く使用されています。使用例としては台所での食器洗いや調理に使う温水、バスルームでのシャワー・お風呂などです。エネルギーコストを削減することで節約につながり、CO₂の削減に貢献することができます。
2. 商業施設
レストランやホテルでは、厨房での調理や浴場などの温水供給に使用されます。また、屋内外のプールなどでは季節や気温によって水温が低くなる際に使用します。特にリゾートホテルやレクリエーション施設において一般的であり、エネルギーコストの削減や環境配慮を目的に導入されることが多いです。
3. 工業
工場や製造業ではお湯を必要とした洗浄などをプロセスの一部とする場合があります。太陽熱温水器を組み込んでエネルギーコストを削減し、CO₂を削減することが可能です。
4. 農業・畜産業
農業および畜産業では畜舎内やビニールハウス内の空調として利用されます。農地に水を供給するために、太陽熱温水器を使用して水を温め、効率的に灌漑水を供給したり、暖房として利用されます。また、家畜の飼料調製には温水が必要となることも多いです。
太陽熱温水器の原理
太陽熱温水器は太陽エネルギーを利用して熱に変換し、温水を供給する仕組みです。
集熱器は太陽エネルギーを吸収する太陽熱温水器の心臓部になります。吸収したエネルギーを熱として取り込みます。
得られた熱が集熱器から熱媒体に伝わることで温度上昇します。加熱された熱媒体は集熱器から貯湯タンクに移動し、タンク内の水が加熱されます。
これらの温水は必要な場所へ給湯配管などを通って供給されます。温水の供給は通常、ポンプや自然落下などの方法が使用されます。
太陽熱温水器の選び方
太陽熱温水器を選定する際は、いくつかの要因を考慮する必要があります。
1. 設置環境
太陽光を利用するため、本製品の性能は地域の設置環境に大きく依存します。日本全国太陽光は届きますが、地域により日照時間や日射角、気温、水温などを考慮する必要があります。地域によっては設置に向かない場合もあります。また、設置時の方位や傾斜角度も考慮する重要なポイントになります。太陽に対して垂直に日射が当たる向きに設置することが、製品の性能を上げる近道となります。
2. 集熱器種類
主要なタイプには平板型や真空管型などがあります。タイプによって利点と制約があるため、用途と設置環境に合った種類を選ぶことが重要です。
3. システム容量
システムの容量は必要なエネルギー量に合わせて検討します。一般的には容量の大きさに比例して費用と設置面積が決まります。家庭用や商業用などの異なる用途に応じて、システムのサイズを決定します。
4. 効率
太陽熱温水器の効率は重要な要素の1つです。効率の高いシステムは太陽エネルギーをより効果的に熱へ変換します。太陽光発電システムのエネルギー変換効率は一般的に20%程度とされるのに対して、太陽熱温水器は70%程度とされています。効率を向上させるためには、高性能な集熱器や高断熱性の貯湯タンクを使用したシステムを選びます。
本記事は太陽熱温水器を製造・販売するマルヤス工業株式会社様に監修を頂きました。
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