防水サーボ

監修:株式会社Hitec Multiplex Japan,inc.

防水サーボとは

防水サーボとは、サーボモーターのうち、防水仕様となっている製品のことです。

完全防水(IP67)規格の製品では、徹底した防塵・防水性能を備えており、水中だけでなく、劣悪な環境の汚水、油の中、噴霧塗装の中でも使用できます。

防水サーボの使用用途

防水サーボも基本的には普通のサーボモーターと同様に、生産ラインや計測装置、医療機器などの産業用途一般や、無人航空機、ラジコンなどに用いることが可能です。

産業用途・業務用途などでは、明らかに水没する用途ではなくとも、もし水がかかった場合に備えて、防水サーボが好まれる場合もあります。特にIP67の完全防水の製品は防塵性能も高いため、耐久性および耐環境性能が求められる産業用途で特に有効です。

具体的な用途例には、以下のようなものが挙げられます。

  • 各種産業機器
  • UAV・UGVなどの舵可動部
  • ロボット (産業用途及び研究分野) 
  • ヘリコプター、ドローン、ボートなどの産業用無人機
  • 屋外設備の解錠装置
  • 生産設備

それ以外の防水サーボ特有の用途の1つは、ホビー用途におけるボートなどの水場で用いるラジコン機械などです。ボートのように明らかに水場で使用するラジコン以外でも広く用いられます。電子工作・ラジコン関係の主な用途例は下記の通りです。

  • 各種スケールのラジコンボート (EP、GP) 
  • 各種スケールの飛行艇、ラジコンエアープレーン
  • 各種ラジコンカー (1/10、1/8、1/5、1/4 スケールのオンロードカー及びオフロードカー、ジャイアントスケールカー、EPカー、1/10GPカー)
  • 各種ラジコンヘリコプター (30〜90クラスのGPヘリコプター、600クラスEPヘリコプター、ジャイアントスケールヘリコプター)
  • ロボット、ドローン

防水サーボの原理

1. 動作原理

防水サーボでは、製品によって、ブラシレスモーターやコアレスモーター、3極コアードモーター、5極カーボンブラシモーターなどが使用されており、高効率にトルクを発生させています。また、通常のサーボモーターと同様にエンコーダが付属しており、エンコーダによって、モーター変位を制御機器へフィードバックすることができます。

ブラシレスモーターとは、整流子やブラシなどの機械的な接触部を取り除いたモーターです。整流子の代わりを電子回路が行っています。直流モーターは、ステータの巻き線の磁力移動によって、永久磁石のロータを回転させます。巻き線の電流切り替えを、位置センサ検出で行い、適切なタイミングで回転させます。

コアレスモーターとは、ロータに鉄心のないモーターです。内側に永久磁石を配置し、磁石の外側に樹脂で固めたカップ状のコイルが巻かれています。コイルに電流を流すと、フレミングの左手の法則を受け、コイル部分が回転する仕組みです。コイル部分が回転するのでロータと呼びます。

2. 防水・防塵

電子機器の防水性能・防塵性能を表す指標は、IP保護等級 (IP規格) と呼ばれ、IEC (国際電気標準会議 ) で国際的に定められており、日本国内においてもJIS (日本工業規格) によって採用されています。

IP保護等級は2桁の数字で表され、1つ目の数字が防塵性能、2つ目の数字が防水性能を表します。防塵・防水いずれかの保護性能だけを表す場合は、もう一方がXで表されます (IP6Xなど)。

IP67等級の防水サーボは完全防水で、防塵性能を表す等級の「6」は、規格において最高レベルです。耐塵型であり、接続端子など保護が必要な部分を除き、粉塵が機器内部に侵入することはありません。防水等級「7」は防浸型で、規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けない性能が担保されている等級です。

防水サーボの外装ケースは、フルメタルケース/エンジニアリングプラスチック/エンジニアリングプラスチックとメタルとの組み合わせなど様々な種類がありますが、いずれも防水構造で保護等級の規定を満たすようになっています。

防水サーボの種類

防水サーボは、製品によって定格トルクピークトルクや、回転数・スピードが異なります。これは、前述の通り内部で採用されているモーターについてブラシレスモーターやコアレスモーター、3極コアードモーター、5極カーボンブラシモーターなどの種類があることや、対応電圧が異なることなどによります。

コントローラーユニットも、製品によって差異があり、特に32ビットMCU (マイクロコントローラーユニット) と12ビットADC (アナログ-デジタルコンバーター) を搭載しているような機種では、高分解能、高速応答が実現可能です。

制御信号は、PWM方式でもTTL (半二重通信) コマンド方式でも使用が可能となっている製品も多くあります。製品によっては専用プログラマーにて操作フィーリングや各機能を変更可能な機能もあります。

使用する際は、各機能・仕様をよく吟味し、用途に合ったものを選択することが重要です。

参考文献
https://hitecrcd.co.jp/industrial/hitecservo/d-series-waterproof.html

本記事は防水サーボを製造・販売する株式会社Hitec Multiplex Japan,inc.様に監修を頂きました。

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