ガスセンサーとは
ガスセンサーとは、空気中に存在する目に見えないガスを検知するためのセンサーです。
近年のIoTの活用や環境保全、省エネルギー化などによって、産業機器、自動車機器、家電機器などの幅広い業界において使われています。そのほか、匂い成分や大気汚染の検出にも利用されています。
ガスセンサーは化学反応や物理現象を利用することによって、様々な化合物を検出することが可能です。ガスセンサーの検出法には、半導体式や接触燃焼式、電気化学式、赤外線式などの方法が挙げられます。
ガスセンサーの使用用途
ガスセンサーの用途は幅広く、産業機器、自動車機器、家電機器など様々な業界で使われています。以下にその一例を示します。
- 産業機器
ガス事故の防止を目的に、大気汚染、化学工場生産、燃焼機関の排気ガス監視を行っています。 - 自動車
環境問題対策として排出ガスの浄化システムで酸素センサー、NOxセンサー、PMセンサーなどの排ガスセンサーとしてガスセンサーが用いられています。 - 家電
空気清浄機にはタバコ、化粧品、アルコール、ペットなどの匂いを検知するためのガスセンサーが搭載されています。
ガスセンサーの原理
ガスセンサーにはさまざまな種類があり、原理はそれぞれ異なります。ガスセンサーとして代表的な4つについて、原理を解説します。
1. 半導体式ガスセンサー
半導体式ガスセンサーは、半導体材料の特性を利用したセンサーで、大きく2種類あります。まず吸着型センサーは、酸化物半導体表面にガスが吸着した際に生じる抵抗の変化を利用したセンサーです。酸化スズなどが用いられています。
2つめの半導体式ガスセンサーは、酸化還元型です。酸化還元型のセンサーは、雰囲気が還元性や酸化性になることで抵抗が変化する性質を利用しています。金属酸化物半導体の表面に検出したいガスが吸着することで生じる抵抗値の変化からガスを検出します。
2. 接触燃焼式ガスセンサー
接触燃焼式ガスセンサーは、水素や炭化水素、一酸化炭素などの可燃性ガスが酸化触媒によって空気中の酸素と反応して、触媒燃焼する際に発熱する現象を利用したセンサーです。発熱量はガス濃度に比例するので、可燃ガスのセンシングとして用いられます。
3. 電気化学式ガスセンサー (定電位電解式)
電気化学式ガスセンサーは、ガス透過膜を使って電解質中にガスを取り込み、ガスの電気化学反応を生じさせるガスセンサーです。酸化還元反応が起こる検知極と対極、電解液から構成され、検知するガスが存在すると触媒上で化学反応が起こります。このときに検知極と対極を接続した際の短絡電流を定量します。
4. 赤外線式ガスセンサー
赤外線式ガスセンサーは、多くのガスが各々固有の波長を吸収する性質を利用したセンサーです。検知するガスが吸収する波長域と吸収しない波長域の赤外線透過量を比較することによって、ガスを定量測定します。NDIR (非分散型赤外線) 式ガスセンサーとも呼ばれます。
ガスセンサーの種類
ガスセンサーの種類と検出するガスについて説明します。
1. 半導体式ガスセンサー
LPガス、都市ガス、一酸化炭素、水素ガス、酸素、アルコール、フレオンなど
2. 接触燃焼式ガスセンサー
水素ガス、炭化水素ガス、一酸化炭素などの可燃ガス
3. 電気化学式ガスセンサー
一酸化炭素、アルシン、オスフィンなどの半導体ドーピングガス、NOx、硫化物ガス
4. 赤外線式ガスセンサー
二酸化炭素、一酸化炭素、炭素水素、冷媒ガス、一酸化窒素、二酸化硫黄、六フッ化硫黄、エタノールなど
5. 熱伝導度式ガスセンサー
水素ガス、二酸化炭素、ヘリウムガス、メタンガス
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/54/4/54_4_351/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/67/12/67_628/_pdf
http://www.rikenkeiki.co.jp/cms/riken/pdf/support/PC9-0314-180610S.pdf