グアニン

グアニンとは

グアニン (英: Guanine) とは、白色粉末の複素環式化合物です。

IUPAC名は、2-アミノ-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン (英: 2-Amino-1,7-dihydropurin-6-one) で、また別名として2-アミノヒポキサンチン (英: 2-Aminohypoxanthine) や2-アミノ-6-ヒドロキシプリン (英: 2-Amino-6-hydroxypurine) とも呼ばれます。

化学式はC5H5N5Oで表され、分子量は151.13、CAS登録番号は73-40-5です。

グアニンの使用用途

グアニンは、1844年に鳥類の排泄物から発見されました。名称の由来は、スペイン語のグアノで、鳥やコウモリの糞を意味します。また、サケ科やタチウオ、サンマ等の魚類の銀白色部位を構成する主要成分でもあります。

1. 核酸の構成塩基

グアニンは、核酸を構成する主な塩基の1つです。DNAの二重らせん構造中では、シトシンと3本の水素結合を介し、塩基対を形成しています。グアニンの6位のカルボニル基酸素が水素結合アクセプターとして、1位の窒素原子に結合する水素と2位の1級アミン上の水素が水素結合ドナーとして働きます。

また、2015年頃から、DNA中でグアニンが並び、高次構造をとるグアニン4重鎖 (G4) が注目されてきました。G4を安定化する化合物 (G4リガンド) は、がんを抑制する可能性が示唆され、抗がん剤などへの適用を模索する研究がなされています。

2. 化粧品

塗布すると、真珠のように虹色に光を反射することから、結晶性グアニンはシャンプーや、アイシャドウ、マニキュアなどのさまざまな製品への添加物として使用されてきました。

また、メタリック塗料や模造真珠にも使用されています。グアニン結晶は、複数の透明な層からなる菱形の板状結晶です。屈折率が高いため、層ごとに光を部分的に反射、透過させ、真珠のような光沢が発現します。

グアニンの性質

360 °Cで分解し、常温で固体です。水や有機溶媒にも溶けにくい性質を持ちますが、希薄な酸やアカリにはよく溶けます。酸解離定数 (pKa) はアミド部位が3.3、2級アミン部位が9.2、1級アミン部位が12.3です。

酸解離定数とは、酸の強さを定量的に表すための指標の1つです。pKa が小さいほど、強い酸であることを示します。

グアニンのその他情報

1. グアニンの製造法

フィッシャー・トロプシュ法により、CO、H2、NH3の等モル混合ガスを700℃で15〜24分加熱した後に急冷し、アルミナ触媒下100〜200℃で16〜44時間再度加熱すると、グアニンとウラシルが得られます。

また、トラウベのプリン合成により、アミンで置換されたピリミジンである2,4,5-トリアミノ-1,6-ジヒドロ-6-オキシピリミジン (英: 2,4,5-triamino-1,6-dihydro-6-oxypyrimidine) をギ酸中で数時間加熱することによっても得られます。

2. 取り扱い及び保管上の注意

取り扱う場合
強酸化剤との接触を避けます。局所排気装置であるドラフトチャンバー内で使用することが大切です。使用の際は、個人用保護具を着用します。

火災の場合
グアニンは不燃性で、それ自体が燃えることはありません。ただし、熱分解で一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物などの刺激性のガスや蒸気を発生するおそれがあります。消火には水噴霧や泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂などを使用すると良いです。

皮膚に付着した場合
皮膚に付着しないよう注意が必要です。使用時は、必ず白衣や作業着などの保護衣や保護手袋を着用します。保護衣の袖は決して捲らず、皮膚が暴露しないようにするのがポイントです。万が一、皮膚に付着した場合は、石けんと大量の水で洗い流します。衣類に付着した場合は、汚染された衣類をすべて脱いで隔離します。症状が続く場合は、医師の診療を受けた方が無難です。

眼に入った場合
眼に対し強い刺激性を持ちます。重篤な損傷を起こす可能性があるので、使用時は必ず保護メガネまたはゴーグルを着用します。

万が一眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗います。コンタクトを着用している場合で簡単に外せるときは外し、しっかり洗浄します。直ちに、医師の診察が必要です。

保管する場合
保管する際は、遮光性のガラス製容器に入れて密閉します。直射日光を避け、換気がよく、なるべく涼しい場所に保管することが大切です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0107-0109JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Guanine
https://www.jfcr.or.jp/chemotherapy/department/molecular_biotherapy/research/002.html

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