超音波ドップラー

超音波ドップラーとは

超音波ドップラーとは、超音波のドップラー効果を利用して対象物の移動速度や方向を測定する技術です。

ドップラー効果とは、波源と観測者の相対的な動きによって波の周波数が変化する現象です。例えば、救急車が近づいてくるとサイレンの音が高く聞こえ遠ざかると低く聞こえるのは、ドップラー効果により引き起こされます。

超音波ドップラー検査では、検査対象に超音波を発信し反射して戻ってくる超音波を測定します。対象物が移動している場合、ドップラー効果によって反射波の周波数が変化します。この周波数の変化量 (ドップラーシフト) を解析することで対象物の移動速度や方向を計測することが可能です。

超音波ドップラーの使用用途

超音波ドップラーは、医療分野、産業分野など、様々な分野で使用されています 。

1. 医療業界

医療業界での使用例の1つが血流測定です。血管の狭窄や閉塞の診断、血流速度の測定などに用いられます。例えば下肢静脈血栓症の診断では、ドップラー法を用いて静脈の血流状態を調べます。もう1つの用途は心臓機能評価です。心エコー検査の一環として、心臓の動きや弁の機能を評価するために使用されます。ドップラー法を用いることで、心臓の各部位における血流速度や方向を測定し、心臓のポンプ機能や弁の逆流などを評価することができます。

2. 産業分野

産業分野の主な用途は流量測定です。超音波流量計にはドップラー式と伝搬時間差方式の2種類があります。

ドップラー式は、流体中の気泡や固形物に超音波を当て、反射波の周波数変化を測定することで流速を算出します。ドップラー式は、汚水や排水など不純物の多い液体の流量測定に最適です。しかし測定対象の流体中に気泡や固形物などの反射物が存在しない場合、測定ができないという制限があります。伝搬時間差方式は、パイプ内を横断するように超音波を発信し、受信側が受信するまでの時間差を計測することで流速を算出しする方式です。ドップラー式に比べて測定精度が高いという利点がありますが、気泡や不純物の影響を受けやすいという側面があります。

これ以外にも超音波ドップラーは非破壊検査や河川や海洋における流れの調査、船舶の航行支援、海洋構造物のモニタリングなどにも用いられます。

参考文献
https://www.jp.omega.com/prodinfo/ultrasonic-flowmeters.html