融点測定器

融点測定器とは

融点測定器のイメージ

図1. 融点測定器のイメージ

融点測定器とは、固体試料の融点を測定する装置です。

融点は、純物質においてはそれぞれの物質に固有の値を示します。一方、不純物が含まれている場合は凝固点降下により融点が低下します。

融点測定器で融点を測定することにより、物質の同定、確認ができる他、純度の分析を行うことが可能です。

融点測定器の使用用途

融点測定器の主な使用用途は、固体試料の融点を測定することです。熱的に不安定な物質の場合は、溶融と共に分解反応が生じる場合があり、この温度は分解点として記録されます。それ以外にも、試料が収縮したり、分解したりする様子を観察することができます。

物質の融点測定を行うことで、試料の耐熱性や純度を評価したり、物質の同定を行ったりすることが可能です。例えば、有機合成においては、生成物の同定や純度の評価などの目的で行われます。このような分析が可能であるのは、純物質の融点は固有の値を示すことが知られているためです。

また、不純物の混じった混合物の場合には、凝固点降下の原理により純物質よりも融点が下がることが知られています。その他、機能性材料の開発などでは、材料の耐熱性の評価を行う目的で行われることがあります。

融点測定器の原理

融点測定の原理の種類には、主に目視法、光透過法 (光透過量の計測による) 、熱量計法、熱分析法 (DTA、DSC法) などがあります。多くの製品は目視法による測定ですが、一部製品では光透過法が採用されています。日本産業規格 JIS K0064(1992)には、化学製品の融点及び溶融範囲測定方法の規定が記載されており、産業界ではこれらの記載に沿った測定が行われています。

どの方法も、基本的に試料を入れた毛細管 (キャピラリー) をシリコンオイルなどの加熱溶媒中にセットし、加熱する仕組みが一般的です。オイルの昇温速度はある程度制御することができます。その他では、金属製加熱ブロック方式で加熱を行う融点測定器も存在します。金属製加熱ブロック方式では、昇音時間、冷却時間がオイル法に比べて短いのが利点です。

1. 目視法

目視法による融点測定のイメージ (1)

図2. 目視法による融点測定のイメージ

目視法はオイルをヒーターで加熱しながら、毛細管中の試料の様子を観察する方法です。通常、目視法の融点測定器では拡大鏡が取り付けられていて、試料の様子が観察しやすいようになっています。

少量の試料を溶液中で徐々に加熱しながら、温度と試料の状態変化を同時に目視で観察します。JISによる目視法では、固体試料が変化し始める時を融点の始まりと定義し、完全に液化した時を融点の終わりとする定義です。

また、目視法による融点測定器の中にはビデオカメラが設置されている装置も有り、このような装置では試料の溶融の様子を録画することもできます。

2. 光透過法

光透過法は、光の透過率を測定することで融点を測定する方法です。例えば、特殊光電センサ検出方式は毛細管の試料が軟化流動し始める状態を光学機構にて測定する方法であり、これに該当します。

ただし、各種添加剤、配合剤とい った ものでは不透明なものも多く、この方法が使えないこともあります。

融点測定器の種類

1. 油浴式・目視法

溶媒加熱型・目視法による融点測定器のイメージ

図3. 溶媒加熱型・目視法による融点測定器のイメージ

融点測定器で最も一般的な種類は、シリコンオイルなどの加熱溶媒を用いた目視法の装置です。ガラス製の容器、温度計、毛細管、溶媒、ヒーター、拡大鏡などから構成されています。毛細管の中に固体試料を入れた後、融点測定器にセットします。

2. 金属製加熱ブロック方式

加熱溶媒を用いない装置では、金属製ブロックやホットプレートなどを熱媒体として用います。カバーグラスに微量試料をはさみ、ブロック内やホットプレートに据え置く構造です。

目視型で測定する場合は、拡大鏡などで融解の様子を観察します。この種類の装置では、試料の観察と温度計の目盛りの判読とに時間的なズレが少なくなるようプリズムを利用した一視野式のものが多いとされます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscta1974/15/3/15_3_143/_pdf
https://jpdb.nihs.go.jp/jp14/pdf/0097-1.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku1952/6/11/6_11_737/_pdf

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