排ガス処理装置

排ガス処理装置とは

排ガス処理装置

排ガス処理装置工場などで発生する有毒ガス (可燃性ガス、自然性ガス、腐食性ガス、毒性ガス、揮発性有機化合物ガス、地球温暖化ガス、PFC、臭気、白煙・紫煙、ばいじん・ダスト、ミストなど) の無害化処理をする装置の総称です。

除害装置、スクラバーとも呼ばれ、かつては有毒ガスの中でも毒性の強いガスと酸性ガスのみを処理し、地球温暖化ガスなどの比較的毒性の弱いガスは大気中に放出するのが一般的でした。

しかし、近年では環境汚染防止や自然環境の保全のために、毒性の弱いガスも適切な無毒化処理を行い排出するのが一般的となり、排ガス処理装置は必要不可欠な装置となりました。新しい排ガス処理方法や、排ガス処理装置の開発も進んでおり、今後さらに需要が高まっていくことが予想されます。

排ガス処理装置の使用用途

排ガス処理装置は、主に半導体製造、液晶ディスプレイ製造、太陽電池製造、研究施設、化学プラント、メッキ工場など、工場や施設から発生する有毒ガス (可燃性、自然性、腐食性、毒性、PFC) の処理のために使用されます。

半導体製造や液晶ディスプレイ製造では地球温暖化ガスの処理も含めた加熱分解式、燃焼式、触媒式が多く活用され、その他の工場では、排出されるガスによって次のように適切な処理装置を選択し導入するのが一般的です。

  • As、P、Se、Cdを含むガス: 乾式除害装置
  • ハロゲン水素や加水分解性ガス: 湿式除害装置
  • その他: 加熱分解式除害装置や燃焼式除害装置

また、一般的な排ガス処理装置では除去できないような、混合ガスなどを無毒化処理する場合には、その工場・施設特有の排ガス処理装置を設計し、有毒ガスの除去を行うという方法も取られます。

排ガス処理装置の原理

排出されるガスの種類、量などによって処理方法が異なりますが、何らかの化学反応を利用して有毒ガスを無毒化するという点では共通しています。

排ガス処理装置では主に、次のような原理で、有毒ガスを除去しています。

  • 加熱分解式
    電気ヒーター加熱による加熱酸化分解反応によりガスを除害
  • 燃焼式
    燃焼バーナーの熱排ガスを利用し、酸化反応により除害
  • 乾式
    処理剤による吸着、化学反応、イオン交換によってガスを除害
  • 湿式
    薬液や水に溶解し、ガスを除害
  • 触媒式
    触媒剤を加熱し、その反応によりガスを除害
  • プラズマ式
    ガス分解をプラズマ放電で実施し、その後湿式除害装置によってガスを除害

また、処理すべき有毒ガスの種類によって、次のように排ガス処理装置を使い分けます。

  • 地球温暖化ガス
    燃焼式除害装置、触媒式除害装置、プラズマ式除害装置など
  • 可燃性ガス
    燃焼式除害装置、乾式除害装置、加熱分解式除害装置、プラズマ式除害装置など
  • 酸性ガス
    燃焼式除害装置、乾式除害装置、湿式除害装置など

排ガス処理装置の種類

排ガス処理装置には、加熱分解式除害装置、燃焼式除害装置、乾式除害装置、湿式除害装置、触媒式除害装置、プラズマ式除害装置などがあります。

1. 加熱分解式除害装置

電気ヒーターの熱を利用して、加熱酸化分解反応を起こし、有毒ガスを除害する装置です。他の排ガス処理装置に比べて、必要な電気や水などが少なくて済むことや、燃料費や燃料設備がいらないなど、低コストで運用できるのが最大のメリットです。

一方で、処理開始までにヒーターを温める暖気運転が必要な点や、有毒ガスの種類によっては、定期的なヒーター交換が必要になる点、処理された高温ガスを冷ますために大量の水や空気が必要になってしまうことなどがデメリットとなります。

2. 燃焼式除害装置

燃料を燃やした熱を利用して、酸化反応を起こし、有毒ガスを除害する装置です。他の排ガス処理装置に比べて、大量の有毒ガス処理ができることや、加熱分解式のように稼働までの時間がかからない (暖気運転が不要な) 点がメリットです。

一方で、燃料設備も同時に設置しなければならず、燃料代と合わせて導入費用、運用費用が高くなる点がデメリットと言えます。また、処理された高温ガスを冷ますために、大量の水や空気が必要になる点もデメリットの1つです。

3. 乾式除害装置

有毒ガスに処理剤を加え、化学反応と吸着によって有毒ガスを除害する装置です。処理剤との化学反応により無毒な化合物に変化させ、処理剤に吸着させ排出します。

排出された処理剤を産業廃棄物として処理しなければならない点が、加熱分解式や燃焼式、プラズマ式などと大きく違う点です。加熱設備などが必要ないため低コストで運用できますが、産業廃棄物が発生するため、その処理の手間やコストがかかります。

4. 湿式除害装置

有毒ガスが溶けやすい薬液や水をシャワーのように噴霧し、その中に有毒ガスを通すことで溶かし、有毒ガスを除害する装置です。

加熱設備などが必要ないため、低コストで運用できますが、有毒ガスを溶かした水や薬液の処理の手間やコストがかかり、処理する有毒ガスが多い場合には施設が大型になりやすいです。

5. 触媒式除害装置

有毒ガスに熱した触媒を与え、化学反応を起こし、有毒ガスを除害する装置です。

燃料代や燃料設備がかからず、かつ電気代も少なく運用できるため、低コストかつ安全に運用できるのがメリットですが、暖気運転が必要になる点や、触媒の交換費用が高額になってしまう点などがデメリットです。

6. プラズマ式除害装置

プラズマ熱を利用して、ガス分解反応を起こし、有毒ガスを除害する装置です。

次のような方法でプラズマ熱を発生させます。

  • マイクロ放電
  • RF放電
  • アーク放電

他の排ガス処理装置に比べて、必要な電気や水が少なくて済むのが最大のメリットですが、定期的な部品交換が必要な点や、処理された高温ガスを冷ますのに大量の水や空気が必要となる点、新しい処理装置なために事例が少ない点などがデメリットと言えます。

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