「ゴム材料 流体適合表」徹底活用ガイド|選定ミスを防ぐ「耐薬品性」の正しい読み解き方 (株式会社ダイコー) のカタログ情報

「ゴム材料 流体適合表」徹底活用ガイド|選定ミスを防ぐ「耐薬品性」の正しい読み解き方

ノウハウカタログ

カタログ紹介

ゴムガスケット選定の成否を分ける「流体適合表」の正しい読み解き方と活用術
「この薬品ライン、EPDMで大丈夫だと思ったのに、すぐに劣化して漏れてしまった」
「『耐油性あり』と書かれていたCR(クロロプレンゴム)を使ったら、アセトンで膨潤してしまった」
「現場の流体が複雑で、どのゴム材質を選べば良いか全く分からない」…。

ゴムガスケットやパッキンの選定において、最も重大なトラブルの原因となるのが、この「流体(薬品)とのミスマッチ」です。温度や圧力、サイズが完璧であっても、使用するゴム材質が流体(液体・ガス)に対して耐性がなければ、ガスケットは瞬く間に膨潤、硬化、溶解といった劣化を起こし、必ず漏洩に至ります。

しかし、ゴムと薬品の相性は非常に複雑です。「耐油性」と一口に言っても、ガソリンに強いゴム(NBR)が、ブレーキフルード(グリコール系)には弱い など、その組み合わせは無数に存在します。

この複雑なパズルを解く鍵となるのが、メーカー各社が提供する「ゴム材料 流体適合表(耐薬品性一覧)」です。この記事では、株式会社ダイコーの「ゴム材料 流体適合表」 などを基に、この適合表の正しい読み解き方、陥りやすい罠、そして適合表だけでは判断できない場合の対処法まで、その活用術のすべてを徹底的に解説します。

第1部:「流体適合表」とは何か? — 4段階評価の基本を理解する
流体適合表は、各種ゴム材質(NR, NBR, EPDM, FKMなど)と、様々な流体(薬品、溶剤、油など)との相性を一覧にしたものです。株式会社ダイコーの適合表では、耐性が以下の4段階で評価されています。

評価記号 耐性のレベル 解説
◎(または○) 使用可能 影響はほとんどないか、ごくわずか。推奨される材質です。
○(または△) 条件により使用可能 膨潤や強度の低下が中程度見られます。低温・低圧など、条件が緩やかであれば使用できる可能性があります。
△(または▲) なるべく使用しない方がよい 顕著な膨潤や劣化が見られます。積極的な使用は推奨されません。
× 使用に適さない 著しい膨潤、溶解、または硬化・亀裂が発生します。絶対に使用してはいけません。
【活用の鉄則①】
まずは「×(使用に適さない)」の組み合わせを絶対に避け、できる限り「◎(使用可能)」の材質を選定することが、安全なシールを実現するための第一歩です。

第2部:【ケーススタディ】適合表から読み解く、ゴム材質の「個性」と「弱点」
流体適合表は、ゴム材質の「個性」と「弱点」を浮き彫りにします。ダイコーの適合表 を例に、代表的なケーススタディを見ていきましょう。

ケース1:最も汎用的な「油」— NBR vs EPDM
流体: ガソリン、軽油、潤滑油、鉱油
NBR(ニトリルゴム): 適合表を見ると、これらの流体すべてに「◎(使用可能)」が並びます 。これが、NBRが「耐油ゴム」と呼ばれる所以です。
EPDM(エチレンプロピレンゴム): 逆に、これらの流体すべてに「×(使用に適さない)」が並びます 。EPDMは油に対して極端に弱く、著しく膨潤します。
結論: 油ラインにはNBR、水・蒸気ラインにはEPDM。これはゴム選定の基本中の基本です。

ケース2:「耐候性」が求められる屋外 — NBR vs EPDM/CR
流体(環境): オゾン(太陽光・紫外線)
NBR(ニトリルゴム): 適合表では「×(使用に適さない)」となっています 。NBRはオゾンに非常に弱く、屋外で使用するとすぐにひび割れます。
EPDM / CR(クロロプレンゴム): どちらも「◎(使用可能)」です 。これらは耐候性に優れるゴムとして知られています。
結論: 屋外での使用(水や空気)には、EPDMまたはCRを選定します。

ケース3:厄介な溶剤「アセトン」— NBR/CR vs IIR/EPDM
「耐油性」=「耐溶剤性」ではありません。この誤解が重大な事故につながります。

流体: アセトン
NBR(耐油ゴム)/ CR(バランス型ゴム): 適合表では「×(使用に適さない)」です 。
EPDM(耐候性ゴム)/ IIR(ブチルゴム): 適合表では「◎(使用可能)」です 。
結論: アセトンやメチルエチルケトン(MEK)といった「ケトン系溶剤」には、耐油性ゴムは使用できず、逆に耐油性のないEPDMやIIRが適しています。適合表なしでの判断は不可能です。

第3部:【最重要】流体適合表の「罠」— 表だけでは判断できない3つの要素
流体適合表は万能ではありません。適合表で「◎」であっても、現場でトラブルが起きるケースがあります。その原因は、適合表が考慮していない、以下の3つの要素にあります。

1. 「温度」— 相性を激変させる最大の変数
流体適合表の評価の多くは「常温」を前提としています。しかし、流体の温度が上昇すると、ゴムの劣化(膨潤や硬化)は飛躍的に加速します。

対策: 必ず「流体の温度」を確認してください。適合表の評価は、あくまで常温での目安と捉え、高温になる場合は、評価を一段階下げる(「◎」→「○」、「○」→「×」)くらいの慎重さが必要です。

2. 「濃度」— “水溶液”と“原液”は全くの別物
適合表に「硫酸」とあっても、それが「10%の希硫酸」なのか「98%の濃硫酸」なのかで、ゴムの耐性は全く異なります。

対策: 流体の「濃度」を必ず確認してください。一般に、濃度が高いほど、また温度が高いほど、ゴムへの攻撃性は強くなります。

3. 「圧力」— 1.0MPaの壁
一般的なゴムシートガスケットは、その柔軟性ゆえに高い圧力には耐えられません。ダイコーのカタログでは、推奨使用圧力は「1.0MPa (10kgf/cm²) 以下」が目安です 。

対策: たとえ流体適合表で「◎」であっても、使用圧力が1.0MPaを超える場合は、ゴムガスケットの使用は避け、より高強度な「ジョイントシート」や「うず巻形ガスケット」を選定し直す必要があります。

カタログについて

カタログ名
「ゴム材料 流体適合表」徹底活用ガイド|選定ミスを防ぐ「耐薬品性」の正しい読み解き方
取り扱い企業
株式会社ダイコー
会社区分
メーカー
該当カテゴリ
ガスケット シール材 ウレタンゴム ゴムシート ゴムパッキン ゴム成形 シートパッキン エチレンプロピレンゴム ゴムシール 天然ゴム フッ素ゴム ブチルゴム ニトリルゴム クロロプレンゴム ゴム加工 シリコーンゴム
カタログタイプ
ノウハウカタログ

株式会社ダイコーの製品全般についてのお問い合わせはこちら

株式会社ダイコーのカタログ

ダイコーのカタログを全てみる

関連するカテゴリのカタログ

ガスケット

ガスケットのカタログを全てみる


株式会社ダイコーの会社公式ページはこちら

Copyright © 2025 Metoree