s10cとは
s10cとは、機械構造用炭素鋼と呼ばれる低炭素鋼の鋼材です。炭素量は0.08~0.13の幅と規定され、炭素量が低いため、あまり高い硬度は得ることができないとされています。
機械構造用炭素鋼は、S-C材(エス・シー材)と呼ばれています。キルド鋼から合金鋼と同様の管理で製造されており、高品質なものになっています。
S-C材の「S-C」Sは鋼(Steel)、-は炭素の割合を示す数字、Cは炭素(carbon)に由来します。
機械構造用炭素鋼の中で、はだ焼き専用鋼のS09CKを除くと、炭素量が最も低い鋼材です。
浸炭焼入れを行って使用されることも多い鋼材です。浸炭焼入れして使う材料は、S09CK、S15CK、S20CKが存在しますが、あまり厳密な成分管理を必要としない、一般的な使用用途に適した材料とされています。
浸炭焼入れとは、炭素の含有率が少ない金属の表面に炭素を拡散浸透させて、表面に硬化層を作る熱処理です。
s10cの使用用途
s10cは、炭素の含有量が低いため柔らかく、冷間加工が必要な場合に使用するのが適しています。また、溶接熱影響部の割れなどの問題が無いため、良好な溶接性が必要な部品にも使用されます。
具体的な使用例としては、ボルトやピンなどの材料、自動車や家電製品など身近なものにも使用されます。しかし、炭素量が低いため、高い硬度を得ることはできないので、硬度が必要な場合には、他の鋼材使用を検討する必要もあります。
浸炭焼入れの必要がある部品にも使用されます。s10cは、強度は低くなっていますが、浸炭焼入れすることによって表面に圧縮応力が残ります。そのため、疲労強度が必要な用途にも適します。
S-C材の切削加工性は良好ですが、その中でも炭素量が少ないS10Cは、粘り気があるため切削性はやや劣ってしまうので不向きです。
S10Cは、柔らかい素材のため、型を押し付けて形状を作る塑性加工は容易に行うことができます。