監修:株式会社アイ・ティ・エス
アキュームコンベアとは
アキュームコンベアとは、コンベアの上に搬送物を一時的に留め置きできるコンベアのことです。
コンベアは物流倉庫や工場等で物を運搬する設備ですが、物を流す速さに対して受け取る速さが追い付かない場合には、コンベアの終端部や途中に物が滞留することになります。
アキュームコンベアは、コンベア上の搬送物の状態を把握し、必要に応じて流れを一時的に止めるなどして効率的に制御したり、搬送物同士の圧力による変形や、コンベアからの落下による破損などの事故を防止しています。
アキュームコンベアの使用用途
アキュームコンベアは物流倉庫や工場などで、工程間の処理能力の差を調整するために使用されています。
例えば、チェーン店の各店舗に商品を配送するための物流倉庫では、仕分け・梱包部署で段ボールやコンテナに入れられた荷物が、ローラーコンベアを使って地区ごとにブロック分けされたレーンへと流されます。
メーカーから段ボール詰めで届いた製品をそのまま店舗に届ける場合には、仕分け担当者は店舗名を記したラベルを段ボールに貼るだけで、その段ボールをコンベアに流せます。一方、多くの種類の商品を店舗ごとに仕分けしてコンテナに詰める作業では、コンテナ詰めの時間が多くかかり、荷物の量は少なくなります。
そのため、アキュームコンベアを使用することでコンベア上に一時的に搬送物を貯め、作業量の川上と川下のバラツキを吸収することが可能となります。
同様に、工場のコンベアや農業作物の仕分け梱包倉庫においても使用されています。製造工場では、上流工程から下流工程に流れる製品の量は、物流倉庫と比較すると事前調整が可能です。それでも何らかの理由によりある工程で製品の滞留が発生した場合には、アキューム機能を持ったコンベアが工程間の調整役を担うことが可能です。
アキュームコンベアの原理
アキュームコンベアはある程度の長さ毎に区切られたコンベアと、その区分毎に設置されたセンサーや、圧力感知ができるストッパー等の組み合わせでできています。
センサーがコンベア上を流れる搬送物の動きを監視し、搬送物が溜まって動かなくなったことを感知すると、コントローラがコンベアの動きを止めます。圧力感知式のストッパーの場合には、搬送物がストッパーを押す力をセンサーが感知して動きを止めます。
アキュームコンベアは、ライン全体である程度の長さを引き回すことで、一時的なストック機能を果たせます。コンベア全体の長さが短い場合には、コンベア上に蓄えられる荷物の量が限られてしまい、保管場所としての容量は限定的です。
逆に、ラインを必要以上に長くすると設備の設置と維持管理の費用が高くなり、電気代などコンベアを稼働させるための費用も高くなります。そのため、アキュームコンベアを設置する際は目的と物量、上流工程と下流工程の処理能力のバランスを考慮して、最適な長さの引き回しを決めることが重要です。
アキュームコンベアの種類
アキュームコンベアはアキュームレートコンベアとも呼ばれ、ローラーコンベア、ベルトコンベア、チェーンコンベアなどのいくつかのタイプの搬送用コンベアで使用されています。種類としては、ロープレッシャータイプのコンベアと、ゼロプレッシャータイプのコンベアに分けられます。
1. ロープレッシャータイプ
ロープレッシャータイプのコンベアは、終端部や中間部である程度の滞留が発生した際に、搬送物同士が押し合う力が大きくなりすぎないように、コンベアの動きを停止します。主に物流倉庫のローラーコンベアで使われており、上流と下流の処理能力差の調整の他、段ボールが圧力で変形したり、レーン上に溢れた荷物が落下して破損することを防いでいます。
2. ゼロプレッシャータイプ
ゼロプレッシャータイプのコンベアは搬送物同士が接触しないように、間隔を保ったままコンベアの動きを止めます。主に電子機器や精密部品を作る工場のラインなどで使われています。搬送物が常に間隔を保てるので、組み立て途中の製品同士の接触を防いでいます。
本記事はアキュームコンベアを製造・販売する株式会社アイ・ティ・エス様に監修を頂きました。
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